1カ月で5件もの「死体部屋」に遭遇。そんな状況下で、家賃保証会社が“良かった”と感じてしまう瞬間とは【著者インタビュー】
公開日:2025/11/1

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。
※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。
——延滞客がご遺体になっているという「死体部屋」。「今月で3件目」という数の多さに驚きました。実際、そんなに多いのでしょうか。
0207:エリア次第といった感じでしょうか。高齢者は亡くなりやすい……のは当たり前ですが、賃料が低い地域の方が、多いですね。
——「死体部屋」に直面するのは、どんなケースが多いですか?
0207:最も多いのは、中高年以上の男性の単身世帯ですね。自殺か病死か、それはマチマチですが。1カ月間で5件が、僕の担当範囲で一番多かった月です。
ある程度の期間ドアの開閉がなく、虫が通路を飛んでいたり、窓ガラスに張り付いていたら、“中で死んでるのかな…”と思います。
——0207さんは、そんな光景にもう慣れてしまって、何も感じないですね。
0207:何も感じないです。面倒な延滞客なら「(死んで)ラッキー」と思うことすらあります。
ただ、切なくなることもありますよ。あるおばあさんが延滞したとき、電話がかかってきて「(延滞して)ごめんなさい、ごめんなさい」って謝ってきたんです。その後、亡くなってしまったんですけど、後から「寝たきりだった」と聞いて。やっぱり、相手次第ですね。
取材・文=吉田あき
