水商売で月収が高額なはずのに家賃を延滞する理由は…。家賃保証会社の管理(回収)担当者が告白【著者インタビュー】
公開日:2025/11/2

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。
※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。
——風俗で働く女性の話もありましたし、「カクヨム」にはホストの話もありましたね。
0207:風俗の方は、どうしても審査面で厳しいので、割合としては多くはありません。
特にホストの方は、無職の人より審査に通りにくい一面があります。審査部門の同僚が言うには、理由が2つ。1つは審査基準の問題。もう1つは、やたらと賃料の高い物件の申込をしてくるから……だそうです。入店1ヵ月目なのに年収800~1000万とか申告し、家賃30万円の部屋に申込してきたり。
——同じ夜のお仕事でも、女性は違うんですか?
0207:水商売や風俗の人が審査に通りにくいのは同じです。ただ、入居後に関しては……印象でしかないですが、ホストは、一度延滞が発生すると、もう解消しないことが多い。女性は、そうではないかな。
——マンガ家だけど、売れていないからデリバリーヘルスのバイトで生活をしのいでいる女性のエピソードもありました。描きたいマンガで成功できなければ、生活のためのデリヘルの仕事をしていかないといけない。割り切れない気持ちを抱えていて精神的に追い込まれていながらもデリヘルを続ける…。そんな実情に切なくなりました。そういった状況で延滞することもあるんですね。
0207:これは8年くらい前からの「印象」なのですが、若い延滞客から「うつ病」と申告されることが急増しました。メンタルを病めば、あまり働けなくなるから収入も減って滞納するのでしょうね。もっとも、滞納の開始とメンタルの病気、どちらが先なのかは、僕にはわかりませんが。
取材・文=吉田あき
