嫌がらせ行為、犯罪者とのニアミス…。家賃保証会社がぶち当たるハードな日常とは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/3

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。

※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。

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——滞納客からの回収を続けていると、ひどい営業妨害があることにも驚きました。排泄物を使った嫌がらせのような行為、ポルノ映画館のトイレに自分の電話番号を書かれるなど、これらは事実ですか?

0207:一部変更していますが、どちらも事実です。電話番号のほうは卑猥な言葉と一緒に男子トイレに書かれていたので、朝起きたら100件くらい着信があって。明らかにおかしいじゃないですか。かけてきた人に聞いたら、番号が書かれた場所を教えてくれたので、わざわざ消しに行きました。自分はあんまりクレームを起こさないタイプですけど、これはひどかったですね。

——ずいぶん手の込んだ嫌がらせだと思います。中にはヒヤッとするような体験もあるのでしょうか。

0207:クレームではないですが、ニアミスのようなことがあります。初めて延滞した30代半ばくらいの男性で、ずいぶん痩せた日雇いの作業員の人でした。家賃3万5000円くらいの部屋に住んでいて、訪問したときに「(支払いを)1週間待ってください」と言ったんです。

でも入金はなく…。不動産会社から電話が入って、その「1週間後の日」に、面識のない人をナイフで刺したと聞きました。

——ええっ!

0207:「誰でもいいから人を刺して刑務所に入りたかった」と話していたそうです。誰でも良かったのなら、僕でも良かったわけですよね。大人しくて、そんなに悪い人には見えなかったんですけれど…。「カネを払え」と迫られる世界から、一時的にでも逃げようとしたんでしょうね。

取材・文=吉田あき

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