高齢者の一人暮らし。認知症で「助けて」と言えない状況でも放っておかれる家賃滞納者の現実とは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/5

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。

※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。

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——延滞しているのが高齢者の場合、「延滞問題が終わる理由は、多くの場合、死しかない。死ななければ解決しない問題があるから、早く死んでくれと願われる」というエピソードに切なくなり、自分も他人事ではないと感じました。これからの高齢化社会では同じような例が増えていくんだろうなと。

0207:認知症が疑われる一人暮らしのおじいさんが家賃を払えなくなったとき、サポートのお願いをするために役所まで行きました。僕も困っていたので。地域の包括支援センターなんかに相談して、高齢者にサポートしてくれる人が付くと、その人が家賃を払う手助けをしてくれることもあるんです。でも、対応の地域差がすごく大きくて……。

このときは、「あなた他人でしょ。(おじいさんが)自分で言ってこないと対応できない」と言われ、相手にしてもらえませんでした。本人は、まだらボケの状態で、大丈夫だからと言って、自分から「助けて」と言えないんです。でも、本当に言えなくなった時には、もうどうしようもなくなってしまう。

——もっと脳の機能が落ちたら何もできなくなって、住むところもなくなり…おそろしいです。

0207:住む場所がなくなるところまでいけば、ケアしてくれるんです。

「あのおじいさんは、もうすぐホームレスになる。部屋を失った瞬間に保護して」と役所に連絡したこともありました。ただ、ホームレスになった途端に問題が解決って……もう少し早く何とかならないのかなとは思います。

訪問のヘルパーさんが代わりに振込してくれると有難いですが、赤の他人が高齢者のお金を簡単に管理できたら……それはそれで問題なんでしょうね。

取材・文=吉田あき

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