訪問看護の現場をリアルに描いた大ヒット医療漫画の続編! 命と向き合うことの重みと尊さを教えてくれる物語『ナースのチカラ plus』【書評】

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公開日:2025/11/1

 看護師の現場をリアルに描き話題を呼んだ『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』。その続編となる『ナースのチカラ plus』(広田奈都美/秋田書店)は、在宅看護に携わる人々の誇りと情熱を描いた物語。本作も命に寄り添う仕事の重みと尊さが胸に響く。

 物語の舞台は「しずまち訪問看護ステーション」。ベテラン看護師の持田が所長としてチームをまとめている。彼女は患者と真摯に向き合う姿勢から周囲の信頼を集めているが、同時にその厳しさゆえに「意識高い系ステーション」と敬遠されることもあり、なかなか新しいスタッフが集まらない。そんな人手不足の折にようやく応募してきたのは、元地下アイドルという異色の経歴を持つ若手イケメン看護師・千春だった。

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 だが千春は訪問看護を軽んじ、チヤホヤされたいという下心丸出しの態度で、周囲を呆れさせる。空気を読めない発言やナルシストぶりには笑ってしまう場面もあるが、その根っこにある素直さや前向きさは、彼をどこか憎めない存在にしている。持田をはじめ、クールな美人看護師・小柴などの支えを受けながら、千春は少しずつ訪問看護の本質に触れていく。厳しい指導を受けながら、ほんの少しずつではあるが変わっていく彼の姿から目が離せない。

 また、持田をはじめとするステーションの面々が見せる訪問看護のプロとしての在り方も見どころだ。患者の小さな変化を見逃さず、時に医師に意見しながらも最善のケアを模索し、本人が「どう生きたいか」を尊重しながらその人の人生に最後まで寄り添う。普段目の当たりにすることのない在宅看護の現場と命の現実を知ることで、働くことと生きることの意味をあらためて考えさせられる。

 時に笑いや涙が織り交ぜられた本作は、命に向き合うすべての人に寄り添う、力強くて温かい物語である。

文=ネゴト / fumi

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