夫が自宅に女性を連れ込んで浮気!? こたつの中に隠れていた女性の正体と、加害者意識のない態度に驚愕する妻。ドロドロの愛憎劇の結末は?【書評】
公開日:2025/10/29

『こたつから出てきた汗だくの女 親戚の娘に夫を寝取られました』(つかさき有:著、サレ妻ユズキ:原作/KADOKAWA)は、何の前触れもなく夫の裏切りに直面した妻の心情と葛藤を描いたコミック。タイトルの通り、ショッキングな状況に置かれた主人公である妻の怒りや悲しみが詳細に描かれている。
主人公・ユズキは、職場で出会った夫とふたりで平穏な日々を送っていた。しかしある日、体調不良で早退して帰宅すると、家の中に脱ぎ捨てられた女もののワンピースを発見。そばで慌てて服を着ている夫の姿に驚いたユズキは、浮気を疑い家中を捜索する。すると、こたつの中から汗だくの裸の女性が現れる――。
本作の見どころは、夫婦間の信頼関係の揺らぎやそれに伴う人間心理が、女性の視点から丁寧に描かれている点だ。ユズキの夫は、悪意こそないものの、優しさがすべて裏目に出る優柔不断な男性である。曖昧な行動や要領を得ない言い訳のひとつひとつが、妻にどれほどの不安と疑念をもたらすことか。彼の優しさがかえって状況を悪化させる皮肉さに、思わず「こういう人、いるいる!」と膝を打つ読者も多いだろう。
一方で、夫の浮気相手である親戚の女性・ミナミの傲岸不遜な態度も見ものである。「お兄ちゃん」と親しげに夫を慕うミナミには、ユズキを傷つけたという加害者意識など全くなく、むしろ長年の関係を盾に、自分こそが特別な存在だと言わんばかりのふるまいを見せる。彼女にはもはや、これは不倫であるという認識すらないのかもしれない。「私からお兄ちゃんを取ったことを絶対後悔させてやるからなッ!」というミナミの言葉が示すように、彼女にとってこれは正当な権利であり、ユズキこそが侵入者なのである。
加害意識のない加害者と、孤独と怒りをひとり抱え込む被害者の対決は、いったいどのような結末を迎えるのか。ラストはあなた自身の目で見届けてほしい。
