夫の2度目の浮気が発覚、しかも相手はマンション投資の詐欺師だった!? 平穏な日常を取り戻すために戦う妻の奮闘記【書評】

マンガ

公開日:2025/11/1

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

私以外、全員クズ 夫の浮気はハニトラ地獄でした』(神谷志保:原作、下地のりこ:漫画/KADOKAWA)は、ハニートラップに引っかかり裏切り行為を働いた夫に翻弄される妻の苦悩を描いたコミックだ。

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 婚約中の彼の浮気に直面した主人公・志保。浮気相手の女性と慰謝料の話し合いを行っていた最中に、志保自身の妊娠が判明する。「この子のお母さんになりたい。あんな人でも、子どもには父親が必要だ――」。そう考えた彼女は彼と関係の再構築を決意するが、その努力も虚しく、結婚後に今度はマッチングアプリで出会った女性との浮気疑惑が浮上する。しかも、その女性の正体はなんと、高額マンションを売りつけようとする冷酷な詐欺師で――!?

 本作の見どころは、一時の刺激を求める軽い気持ちから始まる不貞行為が、いつの間にか取り返しのつかないトラブルへと発展していく過程が丹念に描かれているところだ。特にSNSや出会い系アプリといった匿名性の高い出会いの場では、相手の素性が見えにくいぶん、甘い言葉の裏に思わぬ落とし穴が潜んでいることも少なくない。こうした状況下では、感情に流されて行動するのは何より危険だ。軽率な行動は、時に自らの信用や人間関係に深刻な影響を及ぼすのである。

 結婚前に一度裏切った彼を許した結果、今度はさらなる裏切りに直面することになった志保。夫への信頼も愛情も失った彼女が抱える絶望感は計り知れない。そんな彼女を支えるのは、かけがえのない子どもと、心から気遣い励ましてくれる友人の存在だ。

 身近な人々の支えにより、志保は感情に振り回されることなく現実を見つめ直し、次の行動を考える冷静さを少しずつ取り戻していく。このように、人と人とのつながりの大切さが丁寧に描かれている点も本作の魅力のひとつだろう。人間関係や恋愛で傷ついた経験がある人や、大切な相手の裏切りを経験したことがある人には手に取ってほしい作品だ。

文=ネゴト / 糸野旬

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