同僚以上、恋人未満。毎晩のご飯が育むじれ甘ラブストーリーに胸キュン!【書評】

マンガ

公開日:2025/11/9

 恋人未満の男女が、家ごはんを通して少しずつ距離を縮めていく――そんな日常を描いたのが『篠原君ちのおうちごはん! ~ただ、隣に住んでいる女の同僚と毎晩ご飯を食べる話~』(眞次ズンタロウ:作画、七野りく:原作/KADOKAWA)。隣同士に住む2人の社会人男女の、ちょっぴり拗れたじれったくもキュンとするラブストーリーだ。

 同じ文具メーカーに勤める同い年の男女、総務部の篠原雪継(しのはら ゆきつぐ)と、営業部のエース・四月一日幸(わたぬき さち)。2人はたまたま同じマンションの隣の部屋に住んでおり、夕飯をともに食べたり、休日は一緒にだらだら過ごしたりする。仕事終わりに冷蔵庫の残り物で作るナポリタン、休みの朝には前日から漬け込んだフレンチトースト。雪継の作る料理には工夫が詰め込まれており、読むだけでお腹が空いてくる。

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 2人はまるで恋人のようにも見えるが、あくまで同僚。互いに淡い想いを抱きつつも、不器用で素直になれない幸と、鈍感で無愛想な雪継。なかなか進展しないその関係に、思わずやきもきさせられる。口に出して気持ちを伝えられなくても、何かと一緒に時間を過ごそうとする幸の姿からは、想いがにじみ出ている。また、雪継もつれない態度を見せながら、幸の好きな食べ物や何気ない会話を覚えていたり、さりげなく一緒の時間を大切にする言葉を口にしたりする。その小さな瞬間に、胸がキュンとしてしまう。

 2巻では、雪継に好意を抱く先輩・本間さんが登場。忘年会をきっかけに雪継との距離を縮め、幸の気持ちを揺らす。正月には幸の実家に行くエピソードもあり、2人の関係が少しだけ進んでいく様子が描かれる。また、季節に合わせた料理も魅力的だ。忘年会や正月にぴったりの食事が次々と登場し、物語を温かく彩る。

 不器用で遠回りな2人の恋に、急展開はない。だが毎晩のごはんで、少しずつ心が動いていくのが、たまらない。ページをめくりながら、思わず心の中で叫んでしまう。「もう、早く付き合って!」。

文=ネゴト / fumi

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