「子どもはいつできるの?」引っ越した村の住人全員が子どもを産むことに異常な執着を見せる…この共同体の裏にあるものは?【書評】
公開日:2025/11/17

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
『この村、ヤバイ。夫を寝取る女、子作りを支配する親族、全員に天罰を』(サレ妻真美:原作、みさき:漫画/KADOKAWA)は、移住してきた夫婦の子作りに異常なまでに干渉する村を舞台にした衝撃的な作品だ。都会の喧騒を離れ、穏やかな暮らしを求めて移住した夫婦が、次第に「常識が通じない村」の恐怖に飲み込まれていく。
主人公の真美は、夫・祐介と都会で忙しい毎日を送っていた。妊活を考え始めた頃、祐介の育ての親・秋子から「ヒオキ村に来てみない?」と誘われる。夫の故郷でもあるその村に、ふたりは癒やしを求めて移住することを決意する。
しかし、村の人々の様子はどこかおかしい。「子どもはいつできるの?」と田舎に着いて早々、近所の人からそう尋ねられ、真美は笑顔の裏に妙な圧力を感じる。村全体が子を産むことに異常なほどの執着を見せ、夫婦の生活に干渉してくるのだ。最初は善意だと思っていた真美も、次第に違和感を覚え、息苦しさを感じ始める。
そんなある日、真美は夫と村の幼馴染・優子の不倫現場を目撃してしまう。さらに追い打ちをかけるように優子の妊娠が発覚。村人たちは一斉に優子を祝福し、真美はまるで役立たずのように扱われてしまう。味方であるはずの夫も信じられなくなり、逃げ場のない村で真美は孤立していく。
子どもを産むことこそ正義という歪んだ価値観が村全体に根づき、個人の自由や尊厳を奪っていく。穏やかな田舎の風景の裏に潜む狂気と支配、そしてその状況を作り出すある隠された計画を知ったとき、あなたは背筋が凍る思いをするだろう。
