『ちいかわ』最新8巻では報酬100倍の怪しすぎる討伐依頼で離島を冒険? 草むしりでお金がもらえる不思議な世界の癒し系マンガ
PR 公開日:2025/11/21

仕事で忙しい日が続くと読みたくなる本がある。『ちいかわ』(ナガノ/講談社)だ。心と体が疲れているときこそ、ベッドサイドに並べてあるそれを手に取ってしまう。理由は明確だ。読むだけで心が癒され、忙しさによって固まったしかめっ面が、ゆっくりほぐされるからだろう。
「ちいかわは、子どもが読む本だ」と思っているなら、大間違い。老若男女、いつハマっても恥ずかしくないし、遅くないと断言する。そんな究極の癒し系マンガ「なんか小さくてかわいいやつ=ちいかわ」の魅力をさらっとおさらいしつつ、最新8巻のみどころを紹介しようと思う。
●描かれるのは、煩わしさを感じない癒しの世界
さっそくだが、1巻冒頭の「くらしたい」では、主人公・ちいかわの喜怒哀楽があふれんばかりに描かれている。その可愛さに心をわしづかみにされる人は多く、筆者ももちろん、心を持っていかれた。ただそれだけではない。同時に日々の仕事や人間関係に疲れた人達が抱きがちな「理想的な日々の過ごし方」を、ちいかわを通して表現してくれているような気もするのだ。

本編では、その理想がより色濃く描かれる。例えば、ちいかわの世界には、大きなホットケーキやゼリーが登場する。きっと多くの人はカロリーや糖質を気にするだろう。ただ、ちいかわ達は躊躇なく食べていく。それも、とても美味しそうに。他にもちいかわの世界の生き物達は、眠たくなったら昼寝をし、遊びたいときに遊ぶ。お酒を飲める生き物は、時間を気にすることなく、美味しいつまみと一緒に酒を堪能する。自由気ままな生活を送っているように見えるのだ。仕事で多忙な日々を送る人にとっては、まさに理想の生活と言えるだろう。

また、この世界に登場する生き物の多くは他者に優しい。特に2巻の「草むしり検定」では、ちいかわの友人・ハチワレの優しさがぐっと感じられる。
ある日、ちいかわとハチワレは、草むしり検定5級への挑戦を決意する。ちいかわ達の世界には「報酬」という制度があり、対象エリアの草をむしったり、生活に害を及ぼすモンスターを討伐したりすると、スキルやレベルに応じたお金がもらえるのだ。
ちいかわとハチワレが挑む草むしり検定は、報酬をアップさせる1つの手段。ただ今回、その検定に合格したのはハチワレのみ。ちいかわは惜しくも不合格となってしまう。喜ぶハチワレの隣でなんとも言えない顔をするちいかわ。それを見て何と声をかけたらいいかわからなくなるハチワレ。「大丈夫、次があるよ!」と励ますこともできただろう。もしくは「一度落ちただけで凹むな」とちいかわを奮い立たせることもできたはずだ。ただ、それは合格したからこそ言えることだと気付いたのか、口をつぐんでしまう。
家に帰っても、自身が合格した喜びよりも、落ち込むちいかわへの声のかけ方がわからないことへのモヤモヤが募るばかり。このとき「同じ気持ちじゃないとき、どうしたらいいんだろう」とつぶやくハチワレに、底知れない優しさを感じた。本当の優しさを持っていないと、この言葉は出てこないだろう。

私達が暮らすリアルな世界には、程度の差こそあれ、気持ちを乱され、不快感を抱く瞬間が存在する。ちいかわの世界でも同様な瞬間を目にするが、ちいかわを筆頭に、登場キャラクターの言動に優しさが込められているからなのか、不快感を抱くことはない。リアルな世界もちいかわやハチワレのような人であふれればいいのに、なんて考えてしまう。本書が癒し系マンガと言われる所以は、そこにあるような気がする。まだ一度も読んだことがない人は、ぜひ手に取って極上の癒しを手に入れよう。
●最新8巻は、ちいかわ達の大冒険が楽しめる!
11月21日に発売される最新巻8巻では、全編、離島での冒険が描かれる。ある日、ちいかわとハチワレ、友人のうさぎのもとに一通のお知らせが届く。そこには「報酬100倍の“カンタン”な討伐依頼」と書かれており、場所はちいかわ達が住む島から船で移動するほど遠い離島とのこと。「カンタン」と書かれているのに報酬が多い点や、島限定のラーメンやスイーツも無料で堪能できる点など、いかにも怪しさ満載だが、ハチワレの「行っちゃおう! 島合宿!」という掛け声とともに、喜び勇んで参加を決意する。
連絡船を降りた参加者を待ち受けていたのは、島民からの歓迎だった。島の陽気なムードにすっかり気が緩んだちいかわ達は、夜、島の洞窟へ探検に出かけてしまう。洞窟の前に立てられてあった「立入り禁止」の看板が折られていることにも気付かずに……。
洞窟の中でちいかわ達を待ち受けているのは? 報酬100倍の討伐依頼の内容とは? 冒険の結末はいかに? 可愛さ、癒しの世界にワクワクと切なさが加わった8巻をぜひ楽しんでいただきたい。
文=トヤカン
