キマイラ、ミノタウルスが猫と融合したら…?かまってほしい“ねこもんすたー”たちと過ごす、やさしくて不思議な日常【書評】

マンガ

公開日:2025/12/6

 猫とモンスターが融合した、不思議で可愛い生き物たちと人々の日常を描いた『ねこもんすたー』(ぱんだにあ/竹書房)。本作は、同作者による「ねこようかい」シリーズと同様の世界観を持ちつつ、単体でも楽しめる作品だ。

「モンスター」という言葉から恐ろしい姿を想像しそうだが、本作に登場するねこもんすたーたちは、猫に似た柔らかなフォルムとあどけない表情を持つ愛らしい存在だ。読めば思わず頬がゆるむような可愛らしさで、作中の飼い主たちと私たち読者を癒してくれる。

advertisement

 時々、わがままや意地悪で人の髪の毛を引っ張る「ふぇありー」や、人の行動を邪魔してニヤリとほくそ笑む「あくま」など、飼い主をちょっぴり困らせるねこもんすたーたちのエピソードもある。しかし、その行動の根底に“かまってほしい”という健気な気持ちが見え隠れし、猫らしさが感じられるのも魅力のひとつだ。

 これまで数多くのねこもんすたーが描かれてきたが、さらに第4巻では「きまいら」「みのたうろす」といった新たなねこもんすたーたちが登場。本来はおどろおどろしいギリシャ神話の怪物たちが、日本の家庭で飼い主に可愛がられている――そのゆるやかなギャップがたまらない。

 そしてシリーズを通して注目したいのが、単行本の終盤に必ず登場する「けっとしー」。猫語と人語を自在に操るバイリンガルで、二足歩行ができるカフェの店員だ。いつも来店する人々に寄り添う立ち位置で、物語の締めくくりにふさわしい温かさを運んでくれる存在だ。

 また、描き下ろしの「ねこもんすたーとかいぬし」では、本編では描かれないねこもんすたー側の視点からの日常がモノローグで表現され、飼い主たちへの想いが垣間見えるのも魅力のひとつだ。

 やさしい色彩で描かれる世界観が、ページをめくるたびにやさしく広がっていく本作。個性豊かなねこもんすたーたちが織りなす、穏やかで不思議な日常を堪能してほしい。

文=ネゴト /

あわせて読みたい