夫のW不倫相手から慰謝料を請求された!? 人としての尊厳を守るために、妻は常識が通じないホラ吹き女との闘いに挑む!【書評】

マンガ

公開日:2025/11/23

W不倫サレたのに165万請求されました 史上最悪のホラ吹き女』(華子:原作、まゆか!:漫画/KADOKAWA)は、夫の不倫相手に慰謝料を請求されるという出来事に巻き込まれた妻の物語だ。常識が一切通じない現実を描き出している。

 主人公の華子は、夫とふたりの子どもと暮らす専業主婦。夫の昌和はチェーン居酒屋の店長で、少しモラハラ気味ではあるものの、不倫とは無縁の人だと信じていた。しかしその思い込みはあっけなく裏切られる。夫は職場で出会った女性・ナミエとW不倫関係にあり、しかもナミエは、自分の過ちを棚に上げて華子に慰謝料165万円を請求してきたのだ。まるで被害者のようにふるまうナミエの行動は、あまりに常軌を逸していた。

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 ナミエは嘘と誇張によって周囲を味方につけ、華子を精神的に追い詰めていく。夫は責任を取るどころか逃げ腰になり、義両親も「息子がそんなことをするはずがない」と耳を貸さない。華子は孤立無援で現実の理不尽さと狂気に立ち向かわざるを得なくなる。

 読者の心に重く響くのは、サレ妻という立場でありながら、華子が怒りや悲しみだけでなく「人としての尊厳を守るための戦い」を選ぶところだろう。被害者でありながら悪者にされ、嘘に塗りつぶされる日常の中で、それでも立ち上がろうとする姿に胸を打たれる。

 物語が進むにつれてナミエの異常さが次第に明らかになっていき、夫や義家族を巻き込んだ心理戦が展開される。誰を信じ、どう立ち向かうのか。最後まで息をのむ展開が続く。サレ妻vs.ホラ吹き女。その闘いの果てに残るものは……。

 常識が通じない人間に人生をかき乱される恐怖、そしてそこから這い上がる女性の強さを描いた本作は、単なる不倫ものを超えた社会派ヒューマンドラマである。

文=ネゴト / すずかん

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