天羽希純のエッセイ連載「アイドル界のモンスター」/第7回「アイドルが精神疾患になった話」
公開日:2025/11/28

こんにちは!
定期なのに不定期になってしまっている根本的な性格に問題があるのでは系アイドル、天羽希純です。
今回のテーマは精神疾患と持病についてです。
お話が長くなるので何分割かにわけてお話していこうと思います!
次回のタイトルは「アイドルがタイミーしてみた」です(笑)
今回の話からどう繋がるのかお楽しみに!
私は8月下旬から10月半ばまで約2ヶ月活動を休養していました。
その詳細な理由についてはSNSなどでも発信していない為、せっかくなのでこちらに書こうと思いました。
症状は7月頃から出始めていました。
ライブやその他仕事に行く前に動悸や吐き気、貧血、目眩などがし始めました。
私は前のエッセイでも書いた通り目立ちたがり屋ではなく引っ込み思案で人見知りなので最初は過度な緊張かと思っていました。
8月中旬には私の生誕祭もあった為、焦りや不安が出てしまっているのかな、と。
その度、エナジードリンクなどで気を紛らわせていました。
症状に変化が出てきたのは生誕祭の終わりからでした。
緊張の原因である生誕祭が終わったはずなのに症状が治まりませんでした。
それどころか症状は悪化、立ち上がれない日もありました。
また、幻聴のようなものが聞こえ始めてきました。
ステージに立つ度、見てくれているお客さんが私の悪口を言っている気がする……
そんな余計な気配を感じてしまい、ステージに立つのが怖くなってしまいました。
昔から自信がある人間ではなかったので、今回もそれが原因かと必死に自分を抑えようとしました。
けれどある日、プツンと何かが途切れたように何も出来なくなってしまいました。
なんていうか、感覚でいうと自分を第三者視点からしか見れなくなってしまったというか…。
自分が自分じゃないみたいな、そんな感覚でした。ゲームの中の私をコントロールしているみたいな感じでした。
そこからはどう必死にあがいても仕事に向かうことができず、動悸や吐き気も悪化、頑張ろうとするほど倒れてしまったり記憶が途切れたりしてしまいました。
なんとか電車にのってもパニックが出てしまいすぐ降りて休憩してその後記憶が無いなど…。
ハッキリとした原因は分からず、急になってしまいました。
その時私が所属しているアイドルグループ#2i2 はラストツアー前、新曲お披露目前で大忙しでした。
なので迷惑かけたらだめだ、何とかしないとという気持ちがまた自分を縛り付け、悪循環に陥ってしまっていました。
頻繁な希死念慮もありました。
今まで何回か精神病院に通ったことはありましたが、こんなあきらかな症状は初めてでした。
また病院に行き、経緯や症状を説明すると、入院が必要なレベルのうつ病と診断されました。
そう言われた時、まさか自分がこうなるとは思ってもみなかったのでお医者さんが誰の話をしているのかよく分からなかったです。
入院だなんていつ復帰できるかも分からないのでお断りし、自宅での療養が始まりました。
お仕事もお休みして下さいと言われたので、このまま行けるか行けないか自分でも分からない中、メンバーや関係者さんに迷惑かけてしまったらよくない、とすぐに事務所にも連絡しました。
そこから私の持病である潰瘍性大腸炎も症状が悪くなっていきました。
まだ指定難病のため詳細は分かりませんが、私の場合心と繋がっている症状がみられるため、心が病んでしまった今、お腹と心の症状はイタチごっこでした。
療養の最初のほうはもう何もできませんでした。
何かしようとするとストレスがのしかかり心にも体にも症状を表すため、ただ寝ていることしかできませんでした。
しかし休んでいるという罪悪感から動悸はとまらず寝付くこともできず、1分1分が地獄のように長い日々でした。
社会は私がこうして寝ている間にも忙しくまわっているのに自分は何も出来ない。
社会の一員じゃない。
はぐれもの、孤独。
焦り、不安。
頭が何者かに侵略されたかのようにただこれの繰り返し。
気を失って時間が経った方が楽か、消えてしまった方が楽か、どれだけ考えたか分かりません。
このままずっと休んで解散ライブまでいってしまうのではないか、存在が消えていくのではないか。
人と会うのは怖いのに、すごく孤独を感じて涙が止まらなくなり知らない人に話をきいてもらいたくて、同じような症状の人が集まる会のチャットにも参加したりしました。
孤独で仕方なくなり、手が震えて汗がでてきました。
そのチャットで色々な人に優しい言葉をかけていただき、人と話すことが慣れてきたのもあり、少しずつ体が起こせるようになってきたのが9月中旬くらいでした。
お医者さんに通い、リハビリもしました。
人と話すことは怖くない、自分の存在価値など当たり前なはずなんだけど今の自分にとっては当たり前では無い事を学びました。
親に連れられて自然の中を散歩したりもしました。
まだ第三者視点は消えないけれど、少しずつこれが自分の世界なんだと認識できるようになってきました。
でも心はまだまだ不安定で家族にも八つ当たりや不安を爆発させてしまう時も多々ありました。
そんな中、親が勝手に暗闇ボクシングを契約しました。
最初は「は?」だったのですが、行かないと罰ゲームがあると言われて、まぁ暗闇なら人もあまり見えないし関わることもないかと、動悸と吐き気が凄かったですが地を這いつくばって行ってみました。
始まる数分前までトイレに籠っていました。
内容は先生に合わせてミットにキックやパンチをするというものなのですが、気付けば無我夢中でやっていました。
体を動かしている間は何も考えずにすみました。
汗をかく、もう少し頑張る、それの繰り返し。
レッスンが終わるとほかの人たちが気持ちよさそうな顔で汗を拭きながら帰っていく。
自分も汗をかいている。
「あ、この人達と同じこと頑張れてたんだ」
社会から孤立している気がした自分がほんのすこし社会と繋がれたような気がしました。
そこからは病院と暗闇ボクシングの日々でした。
体を動かすと嫌なことを考えなくてすむし、日光も昼間に浴びれて社会から孤立してる感覚が薄くなるし、なにより体力がついてきたと実感すると復帰できるのではという希望まで感じられて、今となっては勝手に契約された暗闇ボクシング、そして親に感謝しています。
いつかボクシング披露しますね(笑)
今回はここまで。
次回は「アイドルがタイミーしてみた」です。
ここからタイミーにどう繋がるのかお楽しみに。
あ、もう暗闇ボクシング出てきた時点で何も驚かないか…(笑)
<第8回に続く>
天羽希純(あまうきすみ)
8月12日生まれ。東京都出身。
アイドルグループ #2i2の紫担当。
特技はピアノ、トロンボーン、大きな拍手、くねくねボイス。
