第30回「彼方のアストラ」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

文芸・カルチャー

公開日:2025/11/26

鈴原希実_2025_11月_写真

みなさんSFは好きですか?

私は今まで、あまりこのSFというジャンルに触れたことがありませんでした。
なんでも、少しとっつきにくそうなイメージがあったのです。

元々日常系の作品ばかり読んでいた私にとっては、まさに未知であるSF。

そんなSFを題材にした作品に触れてみたい!と思った時に、初めて手に取ったのが今回ご紹介する作品の「彼方のアストラ」でした。

この作品は、宇宙への往来が当たり前になった近未来に高校生のカナタ、アリエスら9名は"惑星キャンプ"に旅立ちます。
未体験の宇宙旅行に胸を躍らせながら惑星に降り立った彼らを待ち受ける、予想外の事態とは!?
というのがあらすじとなっている、近未来SFサバイバルストーリーです。

こちらの作品が初めてSFに触れるという方にすごくオススメしたいとてもとっつきやすいSF作品になっているので、今回ご紹介したいと思いました。

個人的に特にとっつきやすいと感じた点は、登場人物の魅力とシリアスとギャグの融合です。

まず、登場人物。
主な登場人物は9人。
それぞれのキャラクターの個性が際立っているのもあり、非常に見やすい構図になっています。

そして、キャプテンで運動能力抜群のカナタ、映像記憶能力を持つアリエス、ツンデレで医療の知識をもつキトリーなどなど。

それぞれがかなり強力な能力を持っていて、それが徐々に発覚していくのも物語にどんどんのめり込んでいってしまう魅力になっているなと感じました。

そしてもう一つのとっつきやすさの理由である、シリアスとギャグの融合。

これは特にこの作品の特徴かなと思うのですが、とにかくギャグシーンが多いです。

SF作品自体、通常かなり緊迫した状況下で進んでいくものが多いと思います。
この作品はシリアスもありつつ、ちょっと緊迫が続くなというタイミングでギャグが挟まることで、SFに慣れていない場合でも読み進めやすくなっているのかなと感じました。

普段あまり触れてこなかったジャンルの作品を読むことはすごく気分転換にもなります。
そしてこの作品を読んで感じたのは、「宇宙」という壮大なテーマを掲げた作品はすごく視野を広げてくれる感覚があるということです。

もし、今何か思い詰めすぎてしまっているとか、悩んでいる方がいたら。
普段と違うジャンル、そしてSF作品を読んで少し俯瞰して作品を見つめることで、新たな発見があるのではないでしょうか。

ぜひ読んでみていただけると嬉しいです。

鈴原希実_2025_11月_写真
<第31回に続く>

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