多部未華子さんが選んだ一冊とは?「ちょっと背伸びも自慢もする、子どもらしいねずみくん達が愛おしい」
公開日:2025/12/28
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年1月号からの転載です。

子どもの頃、図書館が大好きで、日々長い時間を過ごしていたという多部さん。「ねずみくんの絵本」シリーズともそこで出会った。
「絵もキャラクターもとにかくかわいくて、何度も何度も読みました。『ねずみくんのクリスマス』は昨年、購入したんです」
大人になって、作品の魅力に改めて気付かされた。
「文章はすごくシンプルなのに、喜びや驚き、友達を思う気持ち、キャラクターの感情が全部伝わってくるんですね。ねずみくん達はただいい子なわけではなく、ちょっと背伸びしたり自慢したり、心に秘密を抱えたり……とても子どもらしくて、それがまた愛おしいです」
多部さんのお子さんも、「ねずみくんの絵本」がお気に入り。「これ読んで」と、よく本棚から持ってくるそう。
「子どもは私が読むのを聴きながら、次こうなるよね、と先のストーリーを話すのが好きで。先日は、子どもの言う内容がまったく記憶になくて、首をひねっていたんです。そしたら、丸ごと子どもの創作で(笑)。そんなふうに想像力を掻き立てる、『ねずみくんの絵本』ってやっぱり素敵だなと思いました」
多部さんは現在、WOWOWで放送中のドラマ『シャドウワーク』で主演を務めている。多部さんが演じるのは、夫から激しいDVを受ける主婦・紀子。命懸けで江ノ島にあるシェアハウスに逃れ、同じ苦しみを抱える女性達と暮らすようになる。
「シェアハウスに集う女性達は、過酷な境遇にありながらも、決して人生を諦めません。自分がどう生きていくかを見失わず、一歩一歩前へと進んでいく。人はいつでも変われるし、人生は自分の力で切り開くことができる。私自身、紀子達の姿に勇気をもらいました。こういう力強いテーマの作品に参加させていただいて、本当に嬉しかったです」
DVという重い題材だが、和気あいあいとした現場だったと。
「寺島しのぶさんや石田ひかりさんをはじめとした共演者の皆さんと、ずーっと喋り通しで(笑)。楽しい会話の中で、お互いの役柄についても自然に深く話し合えたので、発見や学びがたくさんありました」
こんなシェアハウスがあったら私も住みたい、と多部さん。
「女性を救い、強くしてくれる家なんです。視聴者の皆さんも、紀子達の決断を見守り、楽しんでいただけたらと思います」
取材・文:松井美緒 写真:TOWA
ヘアメイク:中西樹里 スタイリング:岡村春輝(FJYM inc.) 衣装協力:ビスチェ3万800円(ラム・シェ/contact@rumche.com)、 ニット2万6400円、スカート3万800円
(ともにオートリコ/株式会社ドゥフォワイエ☎086-206-5440)、リング4万2900円、リング3万800円(ともにボーニー/エドストローム オフィス☎03-6427-5901)
たべ・みかこ●1989年、東京都生まれ。2005年、映画『HINOKIO』『青空のゆくえ』で第48回ブルーリボン賞新人賞受賞。近年の主な出演作に映画『流浪の月』、ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』『いちばんすきな花』など。26年度前期NHK連続ドラマ小説『風、薫る』に出演予定。

『ねずみくんの絵本 19 ねずみくんのクリスマス』
(なかえよしを:作 上野紀子:絵/ポプラ社) 1430円(税込)
1974年に『ねずみくんのチョッキ』が刊行されて以来、50年以上読み継がれるロングセラーシリーズ。小さなねずみくんとガールフレンドのねみちゃん、その仲間たちの物語。ねみちゃんを驚かせようと、クリスマスツリーを作ったねずみくん。それを見て、あひるくんやうさぎさん、ぶたさん、くまさん、ぞうさんが次々やって来て……。

『連続ドラマW シャドウワーク』
原作:佐野広実『シャドウワーク』(講談社文庫刊) 監督:山田篤宏 脚本:関 久代 出演:多部未華子、桜井ユキ、川西拓実(JO1)、トリンドル玲奈、上原実矩、須藤理彩、街田しおん、森岡 龍、竹財輝之助、石田ひかり、寺島しのぶ
毎週日曜日午後10時 WOWOWにて放送・配信中
●夫からの暴力で自己を喪失していた紀子。江ノ島の一軒家へと導かれ、同じ境遇の女性達と共同生活を送ることに。だが、そこには秘密のルールがあった。
©佐野広実/講談社 ©2025 WOWOW
