『じゃあ、あんたが作ってみろよ』生きる化石から愛すべきキャラクターに進化。固定観念に凝り固まっていた勝男が読者から愛される理由とは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/9

 夏帆×竹内涼真のW主演のドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系火曜22時)。竹内涼真が演じる海老原勝男(えびはらかつお)は、イケメン御曹司で“ハイスペック”ながらも、「男なんだから」「女だったら」と男女の役割について固定観念を持つ男。夏帆が演じる料理上手で勝男に尽くしてくれる鮎美と同棲中で、そろそろ結婚、と夜景が見えるフレンチレストランで完璧なプロポーズをしたのだが…。原作は同名漫画『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(谷口菜津子/ぶんか社)。勝男、そして鮎美の成長と料理を通じて、誰もが自分の中で気づかないうちに築き上げてしまう「普通」を壊してくれる作品として注目を集めている。本作に込められた想いから裏話まで、著者である谷口菜津子さんに話を聞いた。

――本作で印象的なのはやはり勝男ではないかと思います。物語序盤、勝男は「料理は女性がするもの」という意識が強く、それでいて鮎美の作ってくれた料理に対して上から目線のアドバイスをするなど、絶妙に人を苛立たせる言動がありました。勝男のキャラクターを作る際、参考にしたことや人はいますか?

advertisement

谷口菜津子さん(以下、谷口):知人から聞いた話や、SNSやラジオで見たり聞いたりした情報を膨らませていきました。あと私は一緒に暮らすパートナーと家事を分担しているのですが、相手が担当する家事に口出ししてしまった時の反省の気持ちも勝男の気持ちを描く中でヒントにしています。

――古い価値観のままアップデートせず、このまま歳を取っていくんだろうな……と思っていた勝男がどんどん自らを省みていく展開にまず惹かれました。

谷口:30代半ばになり、自分自身が時代の変化に少し鈍感になっている感覚がありました。「どう対処したらいいんだろう?」「このまま変わらずに生きていって、いつか“老害”と切り捨てられるのは怖い」という気持ちがあって、こういう展開にしたのかもしれません。

――勝男については「かわいい」「応援したくなる」という反応が多いようですが、これは谷口先生の想定内ですか?

谷口:そういった反応を狙って描いたわけではありませんが、私も描いていて「勝男偉いな、すごいな」と思います。スタートはかなり良くない人間ですが、こんな素直に反省して行動できる人間はすごいです。そう自分自身が心から思えるようなキャラクターになるように勝男の発言や行動を考えています。

取材・文=原智香

あわせて読みたい