『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の鮎美を支配していたモテや結婚こそが女性の幸せという考え。鮎美を変える出会いが訪れる【著者インタビュー】
公開日:2025/12/14

夏帆×竹内涼真のW主演のドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系火曜22時)。竹内涼真が演じる海老原勝男(えびはらかつお)は、イケメン御曹司で“ハイスペック”ながらも、「男なんだから」「女だったら」と男女の役割について固定観念を持つ男。夏帆が演じる料理上手で勝男に尽くしてくれる鮎美と同棲中で、そろそろ結婚、と夜景が見えるフレンチレストランで完璧なプロポーズをしたのだが…。原作は同名漫画『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(谷口菜津子/ぶんか社)。勝男、そして鮎美の成長と料理を通じて、誰もが自分の中で気づかないうちに築き上げてしまう「普通」を壊してくれる作品として注目を集めている。本作に込められた想いから裏話まで、著者である谷口菜津子さんに話を聞いた。
――第4話を読むと、鮎美もまた「結婚が女性の幸せ」といった古い価値観に縛られていたのだと気づきます。谷口先生自身は以前からこういった価値観に疑問を感じていたのでしょうか?
谷口菜津子さん(以下、谷口):両親が不仲だったので、そもそも結婚で幸せになれるとは思っていませんでした。さらに現実味をもって考えるようになったのは、サブスクに入ってドラマや映画をたくさん観て、女性が自分らしく生きる物語にたくさん触れたことがきっかけかもしれません。そこからジェンダーにまつわる本も読むようになりました。
――そんな鮎美の価値観を変えてくれた人物が渚です。渚に「好きな料理は?」と聞かれた鮎美は「筑前煮…は彼が好きだからよく作ります」と答えるのですが、鮎美自身の“好き”ではなく、誰かに依存した“好き”であることに鮎美は気づいていくんですね。渚にモデルはいますか?
谷口:モデルはいないのですが、渚には私の「こんなこと言ってくれる友達がいたらいいな……」という妄想が詰まっているかもしれません。
取材・文=原智香
