時空を超えて歴史を旅するガイドブック。「地球の歩き方」から「歴史時代シリーズ」が登場!第1弾は『ハプスブルク帝国』【書評】

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PR 公開日:2025/12/5

地球の歩き方 歴史時代 H02 ハプスブルク帝国
地球の歩き方 歴史時代 H02 ハプスブルク帝国(地球の歩き方編集室:編/Gakken)

 ヨーロッパの歴史を学ぶとき、必ず登場する「神聖ローマ帝国」と「ハプスブルク家」。名前は知っていても、あまりにもその歴史が長く、支配した領土も広いうえ、登場する王族の数は膨大。そのため、「誰が誰だかわからない」「どこの国のことなのかわからない」という人も多いのではないだろうか。

 そんな人におすすめしたい本が、時代を越えて世界を旅する「地球の歩き方 歴史時代シリーズ」から登場した、『地球の歩き方 歴史時代シリーズ ハプスブルク帝国』(地球の歩き方編集室:編/Gakken)だ。このガイドブックを読めば、ハプスブルク家の物語を通して、ヨーロッパの歴史を知るおもしろさと、その舞台を歩くことの愉しみを味わえる。

 第1章「ハプスブルク帝国の歴史をたどる」では、ハプスブルク家の栄光と動乱の歴史を、黎明期(13~15世紀)、勃興~成長期(15~17世紀)、動乱期(17~18世紀)、衰退~終末期(18~20世紀)に分けて紹介している。地図や年表を用いてわかりやすく解説されており、王族の人となりを知れるエピソードも盛り込まれているので親しみやすい。特に、帝国最後の皇妃エリザベートの生涯はドラマティックで印象的だ。

 第2章「ハプスブルク帝国を旅する」では、ヨーロッパに君臨したハプスブルク帝国の足跡を国ごとに紹介している。かつてのハプスブルク帝国の領域は、帝国の首都ウィーンを中心に、オーストリア、スイス、チェコ、ハンガリー、ドイツ、ベルギー、イタリア、バルカン半島、そしてスペインにまで及んだ。本書では、今なお存在する史跡や文化的スポットを紹介しているので、これから実際に旅に出たい人の参考になるに違いない。

 第3章「19世紀のヨーロッパを旅するための準備」では、19世紀後半にタイムスリップしたという想定で、当時の旅の情報収集、服装や持ち物、お金について、移動術、宿泊と食事、旅のトラブルについて書かれている。150年前の旅と比べると、交通機関やインターネットが発達した現代の旅は便利で快適になっているが、盗難、詐欺やぼったくり、体調管理など、旅行者が気を付けるべきことの本質は変わっていない。

 本書を読むと、ヨーロッパ史における重要な出来事の数々にハプスブルク家が関わっていたことがよくわかる。帝国の記憶は今もなお存在する豪華な宮殿や荘厳な教会、美術館、街並みに息づいており、歴史を知ることで過去と現在がつながり、点と点が線になるような感覚を味わえそうだ。知識を身につけると、ヨーロッパの旅は何倍もおもしろくなる。

 なお、本書はカバーを裏返すと、タイムトリップしてもガイドブックだと悟られることなく、現地を堪能できる仕様になっている。「どういうこと?」と思った方は、単行本(紙)を買って自分で確かめてみてほしい。

 歴史が好きな人も、旅が好きな人も、本書を読んでハプスブルク家の栄華と哀愁を巡り、遥かなる古都へ、時を越える旅をしてみてはどうだろうか。ミュージカル『エリザベート』観劇前の予習にもおすすめしたい。

文=ayan

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