欲しいものは“今すぐ”買うのが一番安いインフレ時代。稼ぐ・増やす・貯めるなど図解で網羅的に学べるお金大全【書評】

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PR 公開日:2025/12/19

図解 社会人の基本 お金のしくみがわかるおとな事典 金融・経済「超」入門
図解 社会人の基本 お金のしくみがわかるおとな事典 金融・経済「超」入門(永濱利廣/講談社)

 物価高や将来の年金に対する不安など、身近なお金の話には頭を抱えることが多い。お金は生きていく上で欠かせないものであるからこそ、不安が募ると、先が真っ暗なように思えて怖くなる。

 そんな不安を解消するヒントを授けてくれるのが、『図解 社会人の基本 お金のしくみがわかるおとな事典 金融・経済「超」入門』(永濱利廣/講談社)だ。

 監修者の永濱利廣氏は、第一生命経済研究所首席エコノミスト。本書では、「そもそもお金とはどんなものなのか」を丁寧に解説しながら、経済用語や経済の読み解き方、損をしないお金の使い方・貯め方を提案している。

■預金する金融機関を選ぶ時にチェックしたい“3つのポイント”とは?

 お金に関する話は難しい……。そう感じ、経済にスポットを当てた書籍に抵抗感を抱く方は少なくないと思う。だが、本書はイラスト図解が多く、手に取りやすい。日本銀行の役割や景気の意味など、基礎知識からお金や経済を学べるので、知識ゼロでも読み進めやすいだろう。

 本書でお金の知識を得ると、お金との向き合い方を見つめ直したくなる。例えば、預金口座を作る金融機関選びだって重要だ。つい、近所にある銀行で口座を開設してしまいがちだが、監修者は3つのポイントをチェックして慎重に検討しようと話す。

 なぜなら、「銀行はつぶれない」と言われていた頃とは違い、現代では何が起きるか分からないからだ。

金融機関を選ぶ3つのポイント
①経営の安定性…企業の総資産に対する自己資本の比率や格付けからチェックする
②利便性…ATMの設置数、取引する証券会社との連携、トラブル対応などをチェックする
③金利…預金金利や住宅ローン金利などをチェックする

 なお、銀行が破綻した場合は元本1000万円とその利息までしか保証されないため、資産が1000万円以上ある場合は証券会社に預けるのがおすすめなのだそう。証券会社は破綻しても、投資家の資産は原則、全額返還されるからだ。

 本書には、監修者が推奨する安全性の高い投資信託が記されているので、自分の資産を守るために、ぜひチェックしてみてほしい。

■インフレ時代の今に意識したい支出のバランス&貯蓄法は?

 相次ぐ物価高もあり、日常の中で私たちの意識は「お金を使うこと」よりも「貯めること」に向いているように思う。実際、監修者は約30年続いた長いデフレ時代の影響により、私たちの中には「しばらくすれば安くなるから、今買わなくてもいい」というデフレマインドが根付いていると指摘している。

 だが、今はインフレ時代。モノの値段はどんどん上がっていくため、ほしいものはその時に買うほうが安いという。

 支出は、生涯年収を考慮しながら行うことが大切だ。監修者いわく、生涯年収は企業規模や学歴によって異なるものの、およそ2億~3億円程度であるそう。対して、生涯支出は約2億円であるため、お金を使うことに対して過剰に怯える必要はないという。

 ただ、支出時はバランスを考える必要がある。支出は生活費、貯蓄・投資、娯楽費の3つに分けられるが、監修者が推奨しているのは生活費約60%、貯蓄・投資は約20%、娯楽費は約10~20%というバランスだ。

 なお、インフレ時代の今は、使わずに貯めておくとお金の価値は下がる一方であるため、未来のための資産形成法も再検討したい。監修者は貯蓄ではなく、投資という方法を選び、「お金に働いてもらう」という考え方を持つことが大切だと話す。

 本書では、NISAやiDeCoなどの投資に関する知識も得られるので、そちらも参考にしながら今使うべきお金と未来のために貯めるべきお金を見極めていこう。

 お金と経済に関する正しい知識を身に着けることは、自分の人生の舵を取ることにも繋がる。さまざまな角度からお金のことを深く知れる本書は、未来のために備えておきたい教養本。幅広い人に届いてほしい。

文=古川諭香

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