「かわいいものが似合わない」新人デザイナーのファンシーキャラ作りの道【書評】
公開日:2026/1/12

『ファンシー革命 2』(犬島ななこ/KADOKAWA)は、“かわいい”を愛する気持ちと、創作のリアルな苦しさを同時に描く成長ストーリーだ。
主人公は、かわいいものが大好きな新人デザイナー・ユメ。本作では、彼女が先輩から学びながらファンシーキャラクターのデザインに挑戦し、少しずつファンシーキャラクターづくりの基礎を身につけていく姿が描かれる。
物語の軸には「プロはどうやってお客さまに愛される商品を作るのか」というテーマがある。企画会議でのアイデア出しから、修正の積み重ね、完成へ向かうプロセスまで、一般の読者には見えにくい専門職のリアルが丁寧に綴られている。そのうえ、ユメが教わるテクニックは分かりやすく、実践しやすい。「キュートな絵が描けるようになりたい……」という憧れがある人も、読みながら自然と実践できるような学びが詰まっている。
一方で、創作は自分の内面と向き合う行為でもある。ユメには、幼い頃に「かわいいものが似合わない」と言われた経験があり、そこから本心を封じ込めるようになってしまった。好きなものをノートに落書きする――そんな小さな練習さえ、彼女は長い間できずにいたのだ。
仕事に取り組む中で、ユメは「自分にとってのファンシー」を掘り下げていく。目をそむけてきた本心と向き合い少しずつ自由を取り戻していく彼女の変化が、いつしか周囲の人にも温かな影響を与えていく。
新人デザイナーの日常には、修正の多さに心が折れそうになったり、焦るあまり迷走したりと、生みの苦しみがつきまとう。それでもユメの根底にはファンシーキャラクターへの深い愛がある。どれだけうまくいかなくても、アイデアを形にしようと挑み続けるその姿は、読む人の心をきっとつかむはずだ。
