累計60万部! 年の差×身分差ラブストーリー『大正學生愛妻家』の生誕秘話とこれから――【粥川すずインタビュー】

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PR 公開日:2025/12/30

■ラストはもう決まっている⁉ 粥川流物語の組み立て方

――ストーリーはどのようにして考えているのでしょうか?

粥川:大まかな流れと大きなイベントは最初に決めていて、細かい部分は大正時代ならではの生活習慣などを入れ込みながら考えている感じです。

――ということは――もうラストも決まっているんですか?

粥川:「最後はこうしたい」というイメージは決まっていますね。

――知りたいけど終わってほしくないという複雑な気持ちです。描くにあたって難しかったエピソードはありますか?

粥川:新婚旅行編です。伊豆の修善寺は文豪がよく行っていた場所で、当時の状況が調べやすいかと思って舞台にしたのですが、それでも調べるのがけっこう大変で。資料が見つからなくて焦ることも……。大正時代ものとして、間違いが気にならず読んでいただけるようにと苦心しています。

――「ここはお気に入り」というシーンは。

粥川:ふたりが結ばれるところはちゃんと描けてよかったなと思います。「これって受け入れてもらえるんだろうか?」という不安も結構あったのですが。

(C)粥川すず/講談社
(C)粥川すず/講談社

――不安というのは?

粥川:反応があまり良くなかったらどうしよう、という気持ちもありましたし、結ばれるのがゴールというか「もういいや」となってしまったら困るな、という不安もありました。

――とてもロマンチックなシーンですよね。私のお気に入りのシーンは、勇吾が東京に来る前にふきとの写真を落としてしまって、桃木が拾ってくれるシーンなんです。手紙を渡されたときの勇吾の顔が印象的で。

粥川:「この顔を見よ!」というコマを何か所かつくろうと考えながら描いているのですが、そのシーンはまさにそれです。思いっきり安心した勇吾の表情を読者の方の脳裏に焼きつけようと、気合を入れて描きました。

(C)粥川すず/講談社
(C)粥川すず/講談社

――読者の方のコメントは読んでいらっしゃいますか?

粥川:ファンレターをいただけると、「喜んでもらえてよかった!」と本当に嬉しくなります。あと、連載しているアプリのコメント欄のありがたいコメントにも、本当に生かされています。

――最後に今後の見どころを教えてください。

粥川:勇吾の義理のお父さんのことだったり、これから不穏な時代に突入したりと、ふたりの行く先には大きい懸念事項があります。つまりまだまだいろいろなことが起きるのですが、その中でさらにふたりの絆が深まっていく。そんな過程を見守りながら楽しんでいただけたら嬉しいです。

 4巻は小冊子付録特典付きの特装版も登場
4巻は小冊子付録特典付きの特装版も登場(C)粥川すず/講談社

取材・文=原 智香

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