パワハラ社長が17世紀の大航海時代の船長に。社員に愛想を尽かされた社長の船上奮闘記【書評】

マンガ

公開日:2026/1/10

船長、問題ありません!』(佐藤宮/KADOKAWA)は、波乱に満ちた大航海の旅を描く、時代を超えた“入れ替わり”物語だ。パワハラ社長が17世紀の船長と入れ替わるという、予想もつかない設定の本作が著者のデビューコミックスとなる。

 土下座して謝罪する社員を冷たく追い詰め、社員を前に「使えねえ奴ばっか」と言い放ち、誰も逆らえない状況をつくり出すパワハラ社長・久我尋海(くがひろみ)。そのワンマンぶりから社内は常にピリピリとした緊張感に包まれていたが、ついには社員全員に一斉退職されてしまう。ひとり残務処理に追われる尋海は突然激しい揺れに襲われ、気がつくとそこは海の上。21世紀で社長だった尋海は17世紀で船長になっていたのだった。そこから、パワハラ社長の“波乱に満ちた大航海”が始まる。

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 突然の入れ替わりに動揺するものの、船の上でも「パワハラ」スキルを発揮する尋海。時代も文化も常識も違う、一筋縄ではいかない船員たちに悪戦苦闘するも、21世紀の人心掌握術を使って船員をまとめる姿がコミカルに描かれる。21世紀では受け入れられなかったワンマンぶりを遺憾なく発揮する尋海が、不思議と清々しく感じられてしまう。

 船長としての日々をこなす尋海だが、ふと自分と入れ替わり社長となっている船長を想像し不安になる。しかしその心配をよそに、船長として身につけた力で社長業をこなす21世紀の船長の姿も描かれる。社長と船長、どちらの奮闘も描かれており、“一度で二度おいしい”構造になっているのも本作の魅力だ。

 事あるごとに元の世界へ思いを馳せるも、この航海を何とか乗り越えようとする尋海。すでにいろんな意味で荒波に揉まれているが、果たしてこの入れ替わりで何かが変わるのか。どうすれば二人は元に戻れるのか。続きが気になる第1巻をぜひ楽しんでいただきたい。

文=ネゴト / Ato Hiromi

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