休むことの罪悪感を抱える限界独身女子。無職を卒業し、バイトをはじめ、仔猫と暮らしはじめました【書評】

マンガ

公開日:2026/1/20

 「休むことは大切」と言われても、休息が罪悪感に変わってしまうこともある。では、休むとは何だろうか。自分の欲求に正直に、「今したいことだけをするための時間」なのではないだろうか。自分が今食べたいものをコンビニで選ぶ、自動販売機でジュースを買うためだけに外出するなど、些細なことでも心に正直に動くことが、自分を少しずつ救ってくれることもあるのだ。

限界独身女子(26)ごはん』(的場りょう/KADOKAWA)の主人公は26歳・無職の柊美夜子。やっと入社した会社で踏ん張って働いていたが、心身ともに疲弊し退職。無職生活も気づけば半年になっていた。食事に美味しさは求めず、カップ麺を食べながら荒れた部屋で無気力な日々を送る。何もできない日々と、それでも訪れる空腹。どんなに憂鬱でも、抗えない空腹と向き合いながら前へ進んでいく様子が描かれた作品だ。2025年10月発売の4巻では、自炊や友達との食事など、新たなことに迷いながらも挑戦していく美夜子の姿に触れることができる。

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 4巻では助けた捨て猫・海苔ちゃんとの1人と1匹の日々がスタート。アルバイトを始めたものの、海苔ちゃんに贅沢をさせてあげられるほど稼げていないことや、熱を出して仕事を休んでしまった罪悪感に追い込まれていく。それでも周りの優しさや温かいご飯が、少しずつ美夜子の心をほぐしていく。救ってくれる周りの人々との絆は、「何もしていない」と毎日自分を責めていた無職の日々の中で積み上げてきたものだ。

 過去の出来事や自分の不甲斐なさに思い詰めてしまうのは、自分と真摯に向き合っている証でもある。できることが増えてきた美夜子だが、母親との対話など、乗り越えないといけない壁もあるが、それでもゆっくりと歩みを進める姿に、勇気をもらえる。休むことや、“当たり前”と言われる生活を送れないことに罪悪感を抱いてしまう人、自分を責めてしまう人に、そっと寄り添ってくれる作品だ。

文=ネゴト / くるみ

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