「単身赴任中の夫の行動が怪しい」悩める妻が第三者へ相談するときに大切なこととは?【離婚カウンセラーインタビュー】
公開日:2025/12/26

夫の様子がどこかおかしい。形容しがたい違和感は、やがて確信に変わる。傷ついた妻が選んだのは、夫への復讐の道だった…。『妻が別れを告げる時』(きなりみや:漫画、古川あさこ:原案/KADOKAWA)は、夫の浮気、不倫、モラハラによって傷つけられた妻たちの復讐劇を描いたオムニバスストーリー。
『妻が別れを告げる時』に収録されているエピソード「単身赴任中の夫の家から赤ちゃんの泣き声がした話」は、夫の単身赴任が理由で別居生活を送る夫婦の物語。ある日、偶然出会った夫の同僚から、夫がベビー用品を買っていたことを知らされる。子どもなんていないのに…なぜ? 不信感を抱いた妻は衝撃の事実を知らされることに。夫が不倫相手との間に子をもうけ、単身赴任先で一緒に暮らしていたのだ。
「単身赴任中の夫の家から赤ちゃんの泣き声がした話」の夫婦を例に、離婚カウンセラーでもある「家族のためのADRセンター」代表・小泉道子さんに、夫婦関係や離婚についての話を伺った。
――小泉さんは「家族のためのADRセンター」の代表として、離婚カウンセリングや離婚協議サポートを行っていらっしゃいます。ADRとはどういったものなのか、教えてください。
小泉道子さん(以下、小泉):ADRは、「夫婦ふたりでは話し合いができない、だからといって弁護士に依頼して裁判所で争いたいわけではない」という方に使っていただける、利便性の高い制度です。
私が立ち上げた「家族のためのADRセンター」は、ADRやその手前の相談業務を行う民間調停の機関です。ADRセンターには、年間700~800件のご相談が寄せられています。
――本書には夫の単身赴任で別れて暮らす、子なし夫婦の物語が収録されています。単身赴任中の夫が、子ども用品を購入していたことを知った妻。子どもはいないはずなのになぜ? と不審に思うシーンから始まります。このような不安を抱えた場合、どのような行動をとるのがいいのでしょうか?
小泉:「何か様子がおかしいな」と感じるときは、かなりの確率で「何か」あると思います。そのため、この時点で各機関へ相談しても問題ないと思います。
そのときに一番大切なのは、その「何か」が現実だったとき、自分はどうしたいか(関係修復か、離婚か、はたまた相手の反応をみたいか、など)を考えておくことです。
――ご相談時に注意する点はありますか。
小泉:例えば、藁にもすがる思いで調査会社に相談し、「まずは取れるうちに証拠を取っておきましょう。今日契約してくれれば割引します」などと言われ、契約してしまうケースが散見されます。
その結果、「どうせ離婚しないなら、配偶者の不貞の証拠など見なければよかった」と後悔することもあります。ですので、探偵や法律相談より、まずは自分の気持ちを明確にするための相談を優先するといいでしょう。
取材・文=あまみん

小泉道子(こいずみ みちこ)
「家族のためのADRセンター」代表。家庭裁判所調査官として、夫婦の離婚調停の仕事に15年間従事。その後、民間調停機関「家族のためのADRセンター」を立ち上げる。離婚カウンセラーとして、親の離婚に直面する子どもたちのケアにも力を入れている。
