「俺が不貞行為をはたらいたのはお前のせいだ」自分の罪を妻になすりつけようとする夫。妻はどうやって立ち向かうべき?【離婚カウンセラーインタビュー】

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公開日:2025/12/29

 夫の様子がどこかおかしい。形容しがたい違和感は、やがて確信に変わる。傷ついた妻が選んだのは、夫への復讐の道だった…。『妻が別れを告げる時』(きなりみや:漫画、古川あさこ:原案/KADOKAWA)は、夫の浮気、不倫、モラハラによって傷つけられた妻たちの復讐劇を描いたオムニバスストーリー。

『妻が別れを告げる時』に収録されているエピソード「単身赴任中の夫の家から赤ちゃんの泣き声がした話」は、夫の単身赴任が理由で別居生活を送る夫婦の物語。ある日、偶然出会った夫の同僚から、夫がベビー用品を買っていたことを知らされる。子どもなんていないのに…なぜ? 不信感を抱いた妻は衝撃の事実を知らされることに。夫が不倫相手との間に子をもうけ、単身赴任先で一緒に暮らしていたのだ。

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「単身赴任中の夫の家から赤ちゃんの泣き声がした話」の夫婦を例に、離婚カウンセラーでもある「家族のためのADRセンター」代表・小泉道子さんに、夫婦関係や離婚についての話を伺った。

――単身赴任先で夫は不倫し、女性との間に子どもをもうけていました。しかし、このような事態に陥ったのは妻のせいだと罵ります。夫が自分の不貞行為の罪を妻になすり付けようとする姿は、見るに堪えませんでした。不貞行為を行った側がこのような態度をとることは少なくないのでしょうか。

小泉道子さん(以下、小泉):不貞行為をした側がその理由として相手を責めることはよくあることです。

「家が落ち着ける場でなかった」「子どもばかりで自分を見てくれなかった」「セックスをさせてくれなかった(男性として見られたかった)」「子どもを産んでから、女性として見られなくなった」など、枚挙にいとまがありません。

 そう言われると、ついつい「自分のせいかも」と思ってしまうことがあります。それは、「自分も悪かった」と思った方が相手を許しやすかったり、裏切られた心の痛みが少しでもましになった気がしたりするからです。

――気持ち的に参っている状態や元々の立場が弱いと感じている場合では、このような態度につい洗脳されてしまう方もいそうです。巻き込まれた側はどう心構えを持つといいのでしょうか。

小泉:実際は、不貞行為をされた方が悪いわけでは決してありません。相手を許して修復したい気持ちが強く、こうした解釈で自分が楽になれるのであれば、そう考えるのもよいかもしれません。しかし、そうでない限り「自分のせいにはしない、不貞をした相手が悪い」と、強い気持ちを持っていただければと思います。

――妻はこの騒動を経て精神的に憔悴していました。このような状況に陥った場合、当事者はどう動くといいのでしょうか。

小泉:不貞や離婚に関することは、非日常的なストレスでありながら、生活全般に影響を及ぼす人生の一大事です。離婚騒動がきっかけで適応障害やうつ病になる方も少なくありません。

 そのため、「眠れない」「食べられない」「何でもないのに涙が出る」「相手を見ると動悸がする」といった症状が出る場合は、精神科や心療内科の受診をおすすめします。冷静になって未来を考えるためには、まずは自分のメンタルを整えることが大切です。

取材・文=あまみん

小泉道子(こいずみ みちこ)
「家族のためのADRセンター」代表。家庭裁判所調査官として、夫婦の離婚調停の仕事に15年間従事。その後、民間調停機関「家族のためのADRセンター」を立ち上げる。離婚カウンセラーとして、親の離婚に直面する子どもたちのケアにも力を入れている。

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