余命宣告された愛猫。別れは辛くても、心から愛したものがいる人生は幸福。著者自身の体験をもとに描いた感動の物語【著者インタビュー】
公開日:2026/1/14

社交的なキッチン担当・木暮千景(こぐれちかげ)と、人見知りな接客担当・照巳(てるみ)。正反対な姉弟が営む喫茶店「こかげ」は、大切な誰かを喪った人が行き着く、ちょっと不思議なお店だった。そこにやってきたのは夫を喪った妻、愛猫を亡くした女性……。彼女たちが抱えた喪失感を、ふたりは「弔いごはん」で晴らしていく。
誰かを喪うことと食事をテーマにした漫画『木暮姉弟のとむらい喫茶』(うおやま/新潮社)。著者であるうおやまさんはどんな思いを抱え、作品を紡いでいったのか? 作品制作の裏話を聞いた。
――第3話では愛猫の余命が2週間と告げられた女性・美奈子が食べるガーリックチキンが「弔いごはん」として登場します。愛猫の行く末を考えて気落ちしている美奈子に、千景がガーリックチキンをすすめていて、美奈子同様に「こんなガッツリしたもの、胃が受けつけないのでは?」と思ってしまったのですが、ガーリックチキンにした理由はなぜでしょうか?
うおやまさん(以下、うおやま):自分自身、猫が病気になったときに食べたのがステーキやハンバーガーといったガッツリ系メニューだったんです。「ショックだけど猫のために立ち直らねば」という思いでたくさん食べた記憶があります。なのでこの話でも、これから来る喪失に立ち向かうためにガッツリ系を体が求めるのではないかと思い、ガーリックチキンにしました。
――美奈子が食べながら涙するシーンでは一緒に泣いてしまいました。モノローグ含めとても力のあるシーンだと感じたのですが、どんなことを想いながら描いたシーンですか?
うおやま:実際に自分が猫の看取りを経験した中で感じたことを思い出して描きました。だから力が入ったのかもしれません。
――終盤、美奈子がもし「あなたの人生は心から愛した者がいた人生でしたか」と神様に問われたら、「1匹の猫を愛しました」と答える、そう答えられるから自分の人生は幸せだ……というシーンは斬新かつ納得感があり、「人生の意味とは」という壮大な問いにも答えるものだと感じました。どのように思いついたのでしょうか?
うおやま:これも猫と暮らした中で感じたことです。喪失はつらいけど、愛する存在がいたということは人生に意味をもたらすと感じました。
取材・文=原智香
