第31回「銀の匙 Silver Spoon」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本
公開日:2025/12/31

みなさんは今まで大きな壁にぶつかったり、考え込みすぎてしまったことはありますか?
生きていく中で、1度も壁にぶつからないとか、常に順風満帆ということは基本あまりないのかなと思います。
皆それぞれ、自分の中ですごく大きな壁にぶつかって、それをどう乗り越えようかと足掻いているのではないでしょうか。
今日はそんな大きな壁にぶつかった時、悩みすぎてしまった時の道しるべになるような作品をご紹介したいと思います。
今日ご紹介するのは「銀の匙 Silver Spoon」です。
札幌の進学校で挫折を味わい、進路に悩んでいた主人公・八軒勇吾は、先生の勧めにより大自然に囲まれた大蝦夷農業高校に入学。
しかし、都会育ちには想定外の事態が多すぎて戸惑いの真っ最中。
仲間や家畜たちに支えられたりコケにされたりしながらも日々奮闘する、酪農青春グラフィティというのが今作のあらすじとなっています。
先程お話したように、私にとってこのお話は、迷った時の道しるべになっている作品です。
物語の冒頭、主人公の八軒が進学校で上手くいかず、先生に進められるがままに農業高校に入学するシーンがあります。
その部分が、当時学生で将来について悩んでいた私にとって、「同じだ!」と共感できたのをきっかけにどんどん物語にのめり込んでいったのを覚えています。
私がこの作品の中で特に印象に残っているのは、校長先生のこの言葉。
「生きるための逃げは有りです。有り有りです。」
このセリフは一見物事を軽く捉えているように聞こえてしまうかもしれないのですが、私はそうは感じませんでした。
私もどちらかというと八軒のように、色々な物事について考えすぎてしまうタイプで、このセリフを初めて読んだ時も丁度進路のことで考え込んでいたタイミングでした。
なので、校長先生のこのある種楽観的とまではいかないかもしれないのですが、 視野を少し広げてくれるようなこの言葉が、重く受け止めすぎていた私にとって一種の救いになったのだと思います。
このように、この作品には気持ちがふっと軽くなる言葉や、将来や未来への不安を解消する糸口になるような言葉が沢山溢れています。
そして何よりこの作品は、生徒や先生方の温かさ、命をいただくということの重み、そして北海道の魅力など、学ぶことや胸に響くことが本当に沢山あります。
まだ読んだことがない方も、前に読んだけれどもう内容覚えていないかもという方も、みなさんに読んで欲しい作品です。

