読者もブチギレ必至!? 図々しさを超えたモンスター級の「クレクレちゃん」の行動の裏に隠された歪んだ欲望と孤独とは?【書評】
公開日:2026/1/6

子どもの頃、こんなクラスメイトがいたかもしれない……。『欲しがるあの子を止められない とんでもないクレクレちゃんに絡まれた結果、 人生を深く考えた話』(ぱん田ぱん太/KADOKAWA)は、読後にそんなことを思ってしまう、実話をもとにしたコミックエッセイだ。
物語は、ネイリストを夢見る義理の姪にかわいく爪を塗ってもらったきよかが、SNSにその写真を投稿したことがきっかけで、学生時代の同期・チコから「どこのネイルサロン?」と問いかけられることから始まる。その後、事情を告げても「練習台になってあげる!」や「直接頼むから姪の連絡先を教えて」などと彼女の要求がしつこく続き、きよかは途方にくれる。チコは度を越えて人の物を欲しがり、得をすることに執着する「クレクレちゃん」だったのだ――。
コンビニで買ったスイーツを「ひと口ちょうだい」とねだったり、ファミレスで他人が頼んだサラダバーを悪びれることなく食べたり、チコのクレクレ行為が次々明らかにされると、読者の多くは「いるいる! こういう図々しい人!」と強い共感と嫌悪感を抱くだろう。しかし、物語は、単に笑い話として消費されるような迷惑エピソードの羅列だけに終始しない。とある事件をきっかけに、チコがただガメツイだけで人の物を欲しがり、得をすることに執着しているわけではないことが見えてくるのだ。何が彼女を駆り立てるのか、その心の闇と行動原理が詳らかにされていく過程は、ぜひ本書で確認してほしい。
迷惑な人への怒りという感情は、時にその人物が抱える内的な傷や背景に対する洞察を曇らせてしまう。読後に残るのは「クレクレちゃんへの憤り」ではなく、私たちが普段見落としがちな人間関係の不条理と孤独、そして痛みだ。バカバカしく、どこか滑稽なエピソードの裏に隠れた問題の根深さを、最後の1コマまで痛感させられることだろう。
文=羅塊羅無
