不倫した夫への復讐を後押しするママ友は敵か味方か? 身近な他人がもたらす人間関係の恐怖を描いたコミックエッセイ【書評】

マンガ

公開日:2026/1/12

 不倫された妻が復讐を誓う。このジャンルは、特に珍しいものではない。だが『サレ妻になったので復讐したらママ友の罠でした』(しろみ/KADOKAWA)は、その「お約束」を巧みに裏切ってくる作品だ。本作が描くのは、夫の裏切りそのものよりも、「善意の顔をした他人」がいかに無自覚に、あるいは意図的に人を追い詰めていくかという恐怖である。

「モモコ……旦那さん、不倫してる」ママ友・アヤからの衝撃的なタレコミをきっかけに、専業主婦のモモコは夫・ショウタの裏切りを知る。第二子妊娠中、長男・レンとともに幸せな家庭を築いていると信じていた日常は、一瞬で崩れ落ち、怒りと絶望の中で「復讐」という選択肢にすがろうとする。そんな彼女の背中を押すのが、親身になって相談に乗ってくれるママ友の存在だ。慰めの言葉、的確に思える助言、味方でいてくれるという安心感。しかし読み進めるほどに、その優しさには微妙な違和感が滲み始めて……。

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 ママ友という存在は、生活圏が同じで似たような家庭環境であるため、最も信頼しやすいことと同時に最も危うい存在だ。モモコが少しずつ判断力を奪われ、感情を誘導されていく過程は、決して大げさではなく、「自分にも起こるかもしれない」という説得力をもって描かれている。

 また本作は、「シタ側を成敗してスカッとする」だけの復讐譚にとどまらない。作品を通して浮かび上がるのは、女性ならば一度は感じたことがあるかもしれない、もしくは今後直面するかもしれない悩みや苦しみだ。誰かの物語でありながら、気づけば自分自身の感情を重ねて読んでしまうはずだ。

 モモコが誰の言葉を信じ、どのような選択をするのか。本作は復讐の行方だけでなく、その過程を見届ける物語だ。タイトルの先に待つ展開とあわせて、モモコの気持ちの変化に注目しながら、ぜひ結末まで見届けて。

文=ちゃむ

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