70歳のマダムが最高にカッコいい! 女子大生がときめいたマダムの生き方と考え方が、彩りある人生のヒントを教えてくれる【書評】

マンガ

公開日:2026/1/12

「ルールの中で目一杯楽しみましょ」

 私たちは日々の中で、正しさばかりを追い楽しむことを忘れてしまいがちだ。仕事、家庭、人間関係――。気づけば「どう生きたいか」よりも「どうすべきか」ばかりに腐心している。『マダムが教えてくれたこと』(ユニカ/KADOKAWA)は、そんな凝り固まった私たちに、人生を知り尽くしたマダムが、軽やかに楽しむコツを教えてくれる作品だ。

advertisement

 この物語の中心にいるのは、喫茶店でアルバイトをしている女子大生と、70歳の気品あふれるマダム。短く整えられた白髪に、芯のある優しい声、ピンと伸びた背筋、そして身に着ける洋服はいつもおしゃれ……。お金も時間も夢もない中途半端な女子大生が、来店するマダムにときめきを抱き、会話の中からさまざまなヒントを受け取っていく。

 しかし、マダムは決して説教をしない。人生論を語りすぎることもない。むしろ、主人公が日常でつまずいたり、迷ったり、うまく息ができなくなっているときにだけ、そばに寄り添い「こういう楽しみ方もあるわよ」と、さりげなく世界を広げてくれる。例えば、女子大生が就活のインターンに落ちてしまったときには、たったひとつだけ、自身の姿を見せながらあるアドバイスをくれる。そして、マダムのファッションはいつも大胆だ。古着やカスタムなど、流行に流されないアイテム選びをしているかと思えば、女子大生から最新のパーソナルカラーの取り入れ方を聞くこともある。「おしゃれは他人のためではなく、自分が心地よくあるためのもの」ということを、彼女が纏う服やスタイルを通して教えてくれるのだ。

 この作品は、主人公の生活や境遇が激変するような物語ではない。しかし、マダムから受け取ったヒントで、彼女の世界の見え方や歩き方は着実に変わっていく。読者にとっても、マダムはよき「人生の先輩」として、自然体でしなやかに、程よい距離で寄り添ってくれるだろう。

文=馬風亭ゑりん

あわせて読みたい