ネコの世話をするだけのはずが!? マフィアの標的になる男の運命は【映画『コート・スティーリング』 レビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2026/1/26

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年2月号からの転載です。

コート・スティーリング
監督:ダーレン・アロノフスキー 
出演:オースティン・バトラー、レジーナ・キング、ゾーイ・クラヴィッツ、マット・スミス 
2025年アメリカ 107分 
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 1月9日より全国公開 PG12
●生活はラクじゃないものの恋人がいて、ひいきのジャイアンツは番狂わせからペナントレースで奮闘中と、平和な日々を謳歌していたハンク。だが隣人からネコの世話を頼まれたのを機に、裏社会のトラブルに巻き込まれてしまう!!

 巧い役者ならばハリウッドに星の数ほどいるだろう。けれどゴージャスでセクシーなルックスと振り幅の広い演技力を兼ね備え、強運を味方につけたスター俳優はやはり一握り。オースティン・バトラーは間違いなく、そんな真のスターのひとりだ。しかも『エルヴィス』から『ザ・バイクライダーズ』まで、作品選択眼も光る彼が最新作で挑んだのは、自身とは対極にある【人生の負け組】だ。

 バトラー扮するハンクは、NYで働くバーテンダー。かつては“超高校級スラッガー”として鳴らしたものの、運命のいたずらから夢破れていた。その彼が隣人のネコを預かったのを機に、怒り心頭のマフィア連中の真っただ中へ放り込まれてしまう!

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〈コート・スティーリング〉とは「盗塁失敗」を意味する野球用語で、チャンスを掴もうとするも逃すことを指す。かつてメジャープレイヤーとなる夢を目前に将来を棒に振った男は、なぜロシア系にユダヤ系、プエルトリコ系マフィアおまけにNY市警の標的にされるのか? 悪夢と悲劇に見舞われながら、生き延びるためハンクは自らと向き合ってゆく。

 バイオレント描写も登場する今作。けれどトラウマを抱えつつ動物にやさしく、母親想いのハンクをバトラーがチャーミングに体現し、ヘヴィ感とは無縁だ。またネコをはじめウシやトカゲら動物たちのおトボケ姿、ジャイアンツびいきなハンク母子の会話がいつしかクセになる妙味を発揮する。『ブラック・スワン』『ザ・ホエール』の異才が、1990年代NYのアンダーグラウンドをクールかつスリリングに活写。動物愛とジャイアンツ愛にあふれた痛快クライム活劇だ。

文:柴田メグミ

しばた・めぐみ●フリーランスライター。『韓国TVドラマガイド』『MYOJO』『CINEMA
SQUARE』などの雑誌のほか、映画情報サイト「シネマトゥデイ」にも寄稿。韓国料理、アジアンビューティに目がない。

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