日本に根づくアイドル文化に寄り添う形でその問題点を突き考えさせる創り方を選択【『恋愛裁判』監督・深田晃司 インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2026/1/26

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年2月号からの転載です。

「企画当初から明確にしていたのは、いわゆる〈アイドル残酷物語〉は創らないということ。大上段から断罪するのではなく、日本に根づいているアイドル文化に寄り添う形で、その問題点を突いて考えさせる創り方にすべきだと思いました。アイドル業界の当事者たちに観てもらうためにも、いちばん描くべきは恋愛できるかできないか、主体性への抑圧で、その構造的な問題の着地点を探すのには苦労しましたけど。また自分が男性監督として脚本を書くからこそ、【女性の敵は女性】の構図は避けようと決めていました」

 主演は元日向坂46の齊藤京子。

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「この企画の根幹に、アイドル経験者が関わっていることはとても重要だと考えていました。真衣については、若さと華やかさがある一方で、アイドルから連想されるステレオタイプからちょっとズレた、真面目な優等生をイメージしていて。ネットニュースで見た齊藤さんの写真から近い印象を受け、オーディションに参加してもらいました」

 同じ夢を追いながら三者三様の道を選ぶ、菜々香役の仲村悠菜、梨紗役の小川未祐も出色。

「本当にいいチームになりました。自然なトーンで演じられることが大前提にありつつ、仲村さんはアイドルらしいかわいい声で、声が低めな齊藤さんと対照的なのも決め手のひとつ。セリフを自分の言葉として話せる、天性の才能も感じました。小川さんに関しては、圧倒的な演技力ですね。凛々しい雰囲気や長身が梨紗役にハマっていたうえ、シンガーソングライターとしても活躍されていて。鴨がネギをしょってオーディションに現れた、みたいな感じでした(笑)」

 自ら執筆した小説版も発売中。

「脚本で書きながらハズした、別パターンの展開を終盤に採用して。A面B面のように、映画とはかなり感触が違っています。アイドル業界についても、いろいろ書き込むことができました」

恋愛裁判
監督:深田晃司 
出演:齊藤京子、倉 悠貴、仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜 ひなの、唐田えりか、津田健次郎 
2025年日本 124分 配給:東宝 1月23日より全国公開
●アイドルグループのセンター、真衣は元同級生と偶然再会し、恋におちる。「恋愛禁止ルール」との間で葛藤するなか、ある事件が……。元アイドルの女性が訴えられた、実際の裁判から着想した問題作。アイドルの世界をリアルに表現、その光と闇を映しだす。

ダ・ヴィンチ 2026年2月号 [雑誌]

ダ・ヴィンチ 2026年2月号 [雑誌]

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