両親と行った家族旅行に不倫相手も!? 怒りが限界突破したサレ妻たちの痛快復讐劇をオムニバスで描く『妻が別れを告げる時』【書評】
公開日:2026/2/2

「結婚すれば幸せになれるはずだった」。そんな希望を抱いていた妻が、夫の裏切りという現実に直面し、離婚だけでなく復讐の刃を研いでいく。それが『妻が別れを告げる時』(きなりみや:漫画、古川あさこ:原案/KADOKAWA)だ。浮気、不倫、モラハラといった夫の裏切りや態度に対し、冷静かつ緻密に対峙していく妻たちの姿が描かれている。
本作はオムニバス形式で、それぞれの夫婦の軋轢や裏切り、離婚への向き合い方を描くが、特に強烈なのが夫の浮気の方法だ。『妻が別れを告げる時6 Season3 家族旅行で泊まる宿に夫が女性を連れ込んだ話』では、普段からモラハラで家族を支配する夫が、妻と子どもだけでなく、両親も同行する家族旅行に浮気相手を連れ込むという、シリーズの中でも屈指の衝撃度だろう。
こうしたドラスティックな設定に加えて本作が魅力的なのはただのドロ沼劇では終わらないところにある。主人公である妻たちが単なる被害者ではなく、そこから立ち上がり夫を追い詰める復讐者になっていく姿が描かれるのだ。日々受けてきた心理的負担や疑念の積み重ね、そして決定的な裏切り。それらに苦しめられた妻たちは「ただ離婚すればよい」という単純な結論ではなく、夫にその行為の重さと愚かさを理解させるために戦うのである。時にヒリヒリするような情報戦を、あるいは裏をかくような心理戦を繰り広げ、夫と浮気相手を追い詰めていく妻たちにエールを送りたくなる。
シリーズ全体には、浮気や不倫だけでなく、夫婦間のすれ違いやモラハラ、夫の嘘といった数々のテーマが横たわっており、どの話も決して他人事とは言えない生々しさを持つ。そのため読み手は「もし自分が当事者だったら……」といつの間にか感情移入し、スカッとする瞬間を求めてページをめくることになるのである。
文=甲斐ハヤト
