愛犬の「食欲がない」「下痢」「嘔吐」は、もしかしたら急性膵炎かも? 器官別・犬種別に調べられる救急ガイドマップ【書評】
PR 公開日:2026/2/5

食欲がない、元気がない…など「いつもとは違う」愛犬を見かけたとき、“とりあえず様子を見よう”と考える人は多いかもしれない。ところが、そんな初期症状に重大なSOSサインが隠されていることがあるという。
「普段と違う様子が見られて、不安を感じるような場合には、様子を見ずに受診をするのが無難です」と語るのは、『SOSサインを見逃さない 愛犬のための 急変・救急対応事典』(講談社)の著者である獣医師の伊藤寿雄氏。本書には、見逃しがちな初期症状に潜む愛犬の病気や、救急の場合に愛犬のどこを見ればいいのかなど、愛犬の疾患にまつわる信頼できる知識が総合的に紹介されている。
●元気も食欲もなく嘔吐があったら要注意

食欲も元気もなく、嘔吐や下痢もあったので「胃腸炎かも」と思って様子を見ていたら、じつは「急性膵炎(すいえん)」だった…というケースもあるそうだ。
急性膵炎とは、何らかの原因によって膵臓の細胞内で消化酵素が活性化し、それが膵臓の炎症や壊死につながるという怖い病気。ミニチュアシュナウザー、テリア系、コッカースパニエルなどに多い疾患で、強い腹痛もよくある症状のひとつだとか。
同じように「元気がない」「食欲がない」「嘔吐がある」「お腹を痛がる」という症状がある場合、「胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)」の疑いもある。肝臓で作られた胆汁を一時的に貯留する「胆嚢」の中に、弾力性の強い粘液物質がたまり、消化器の障害が起きている状態だという。
なお、食欲の変化があって受診をするときは、いつもの何割程度しか食べないのか、具体的な量を伝えると診断に役立つそうだ。痛がったときは、動画を見せる方法もある。このように、受診するときに伝えるべき点が紹介されているのもありがたい。
●「咳が出る」「呼吸がおかしい」ときの対応は?

犬種別の疾患も紹介されている。たとえば、気管が変形して呼吸しづらくなる「気管虚脱」は、パグやトイプードルなど先天的に気管の軟骨が弱い犬種に多い疾患だという。興奮しやすい性格の愛犬や、空気が汚れた部屋で暮らす愛犬は特に要注意。「咳が出る」「呼吸がおかしい」ときは、見た目で判断できない病気が多いため、病院での検査が正確な診断の手がかりとなるという。一方的な判断をせず、早めに受診するのが良いだろう。
●7歳をすぎたら半年ごとの定期健診を
怖い疾患ばかり紹介してしまったが、これらの病気を放置して重症化すると命の危険につながるというから恐ろしい。ちなみに「急性膵炎」は初期段階では無症状のため、健康診断で偶然見つかることが多いという。定期的な健診が予防のひとつと言えるだろう。著者は、どんな犬種でも7歳をすぎたら半年ごとに健診を受けさせることを薦めている。
●愛犬のSOSサインを逃さないことが大切
人間と違って我慢強いうえに、飼い主が気づいた頃には重症化しているケースも少なくないという犬の病気。ただし、神経質になりすぎても愛犬がストレスを感じるから注意が必要だという。本書によれば、愛犬のSOSサインを逃さないようにするには、普段から愛犬をよく観察し、体温や排泄、食べる量などを把握しておくことが大切。それらを把握したうえで、「ちょっとおかしい」と感じたときに、本書で受診の目安を確認するのが良さそうだ。
病気になったときの愛犬の苦しみを考えると、それだけでもつらい。けれども、誤った対応もまた愛犬を苦しめることになりかねない。だからこそ、ありそうでなかった救急ガイドマップが、愛犬との穏やかな暮らしをサポートしてくれるだろう。愛犬の体に起こっていることが事細かに紹介されており、その苦しみを少しでもわかってあげたいという飼い主の気持ちも埋めてくれるはずだ。愛犬の異変に気づいてあげられるのは、いつもそばにいる飼い主だけ。本書を一冊持っておくことを強くおすすめしたい。
文=吉田あき
