蒸発した父親、自殺した母親、アルコール依存症の祖母の支配…壮絶な毒家庭で育った女性の葛藤と解放を描いたノンフィクション【書評】
公開日:2026/2/5

我が子の幸せを願い、そのために全力を尽くすのが親の役割だ。「普通の家族」とはきっとそういうものだと思うが、現実にはその「普通」を与えてもらえない子どももいる。『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)は、親として機能不全となった両親の代わりに祖父母に育てられた女性の、壮絶な半生を描いたノンフィクション作品だ。
主人公・ゆめのの両親は、父親の浮気とギャンブルのせいで仲が悪く、4歳のときに父親は蒸発、母親は自ら命を絶ったために、ゆめのは母親の実家の祖父母に引き取られる。ケンカばかりの両親から解放され安心したのも束の間、祖母は昔からアルコール依存症だったためシラフの日が数えるほどしかなく、祖父は世間体を気にして祖母に向き合おうとしない、こちらもまともな家庭ではなかった。そのためゆめのは思春期の頃には祖母の世話をするヤングケアラーとなり、そして日に日に言動がキツくなっていく祖母に心身が削られていくのだった。
さらに恐ろしいのは、ゆめのは結婚してこの家を出られたのだが、それでも祖母の呪縛に苦しめられることだ。虐げられた過去の記憶のフラッシュバックに加えて、世話をする人がいなくなった祖父母に対して、自分だけが今幸せなことに罪悪感を持ってしまったからだ。「普通の家族」を願った彼女にとって、いくら毒親だったとしても家族を大切に思う気持ちを切り捨てられず、どうしていいのかわからなくなっていく姿がとても痛々しい。やがてゆめのは夫とともに解放への道を見出していくのだが、それは最後まで読んで確かめてほしい。
読後、ゆめのが子どものときに差し伸べる手があったならと考えてしまうのは私だけではないだろう。より多くの大人たちに本作が届くことで、今同じような家庭環境で苦しんでいる子どもを一人でも救うことができたらと思う。
文=nobuo
