外面の良さに驚愕! 周りを加害者に仕立て上げ続ける受動的攻撃の“達人”を描いた漫画『被害者姫』【著者インタビュー】
公開日:2026/2/16

「自分の意見を主張せず、争いごとが嫌いでニコニコしている」そんな“いい人”のアヤ。優しく気遣いのできる彼女は職場の愛されキャラだ。しかし彼女は無言で相手の罪悪感を刺激する「被害者姫」だった――。あらゆる手段を使って自分を被害者側に見せ、周囲の同情を集めて相手を加害者に仕立て上げる。一番かわいそうな立場を死守しようとするアヤに待っている結末は……?
攻撃的な言葉を発さずに、相手を追い詰めていく“受動的攻撃”をテーマに描かれた『被害者姫 彼女は受動的攻撃をしている』(水谷緑/竹書房)。昨年放送されたドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」の原作者であり、本書の著者でもある水谷緑さんに、本書を描いたきっかけやアヤが取る受動的攻撃について話を伺った。
――暴言や暴力など直接的な攻撃ではなく、相手の罪悪感を刺激する「受動的攻撃」。あらゆるシーンで受動的攻撃を行う主人公・アヤについてはどう考えていきましたか?
水谷緑さん(以下、水谷):受動的攻撃を行う人って、周りの人に印象を聴くとみんな「ニコニコしていていい人だ」と言うんですよ。愛想もいいし、よく気が付くし、人に好かれる。私の周りにも受動的攻撃を頻繁に行う人がいるのですが、人を立てるのもうまいし話を合わせるのも上手で、人から悪く捉えられるような人ではないんです。
――モデルとなる人がいらっしゃるんですか?
水谷:その人はアヤほどではないので、モデルというよりは参考にした人のひとりですね。例えばご飯食べに行こうとなった時、自分からはお店を絶対に提案しないんです。「どうしていつも受け身なのかな」と考えると、自分が決めることで責任を負うのが嫌なのかなと思って。その子の親を思い出すと結構支配的だったな……とか、受動的攻撃をしがちな人のひとりとしてその子のことを考えました。あとかなり攻撃力のある体験としては、昔部下の方が急に辞めたことがあったんですね。私が言ったことに対して「それを必ずやらないといけない」と思ったみたいで、話し合いとかもなく「できません、辞めます」と。
――辞めるというのも確かに受動的攻撃ですね。相手を困らせるという目的は達成できますし。今お話を聞いて、確かに私の周りにも自分では何も決めないのにいざ参加するとつまらなそうな人がいたなと思い出しました。アヤみたいに「常にいい子」という感じではなかったですが。
水谷:そう、アヤは非常に本性を隠すのがうまいんですよ。受動的攻撃の達人にしようと思って描きました。
取材・文=原智香
