黒島結菜さんが選んだ1冊は?「私の知らない世界を読み聞かせてくれるこの本に初恋した気分です」
公開日:2023/5/13
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年6月号からの転載になります。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、黒島結菜さん。
(取材・文=野本由起 写真=booro)
「朝ドラ『ちむどんどん』の撮影が始まる前に、駒沢さんが書いた沖縄の本を読んだんです。それが面白かったので、ほかの著書も読んでみようと思ったところ、出合ったのがこの本。タイトルにキュンとしましたし、内容も素晴らしくて、駒沢さんの本を全部買い集めました。もう、この本に初恋した気分。私の知らない世界を読み聞かせてくれているようで、すべてにときめきました」
はにかんだ笑顔で語る黒島さんの“初恋“のお相手は、著者の心の旅を綴ったエッセイ。バリ島の呪術師やオーストラリアのヒッピー・コミューンなどを訪ね、自身の内側を覗き込むさまが描かれている。
「というと、スピリチュアルな世界に踏み込んでいるようですが、どっぷり漬かっているわけではなくて。興味はあるけれど、あくまでも客観的かつ冷静に分析する。その距離の取り方が私に近いと思いました」
中でも黒島さんが試してみたいのは、“地球を抱いて眠る“体験。
「自分で選んだ木の根元で、地面にうつ伏せになるんです。文字どおり地球を抱くようにして寝て、自分自身と向き合うと心が落ち着くらしいんですね。とても素敵だなと思いました。私は高層ビルが苦手で、できれば地面の近くにいたいタイプ(笑)。ぜひチャレンジしてみたいです」
海外を旅する時も、人々の日常的な暮らしが感じられる街を選ぶ黒島さん。だが、このたび出演する舞台は、大都会・銀座の物語だという。
「海が近くて浮浪者もいる、華やかなだけではない銀座が描かれます。私が演じるイズミは、お兄ちゃんのことが大好き。妹らしいかわいらしい子かと思いましたが、作・演出の岩松さんは、ちょっと大人になった私の印象を役柄にも反映したいとおっしゃっていました」
描かれるのは“赦しの物語“。
「赦しって難しいですよね。赦すと決めても、引っかかりが残ったり、心の底では赦せていなかったりすることも。答えがないけれど、誰の心にもある感情に出会える気がして、演じるのが楽しみです」
舞台に出演するのは6年ぶり。
「台詞や動きを何度も繰り返して、少しずつ積み上げていくのが部活のようで楽しくて。本番に向けて、セット、衣装、メイク、音楽が徐々に出来上がっていく過程にワクワクします。前回舞台に立ったのは20歳でしたが、今は26歳。またひとつ大人になりたいですし、自分の節目となる舞台になればうれしいです」
ヘアメイク:加藤 恵 スタイリスト:伊藤省吾(sitor) 衣装協力:ワンピース3万8500円(フィル ザ ビル/フィル ザ ビル マーカンタイル 青山TEL03-6450-3331)