「離婚してなかったんだ...」入籍前日に愛する彼からの告白『臨月に自分がシタ側だと判明いたしました』
公開日:2024/8/8

元既婚者と結婚する場合、相手に子どもがいることがある。たとえ自分との子どもを授かったとしても、その関係性が消えることはない。前の家族といまの家族を比較してしまい、どちらを大切にするのかと不安になることもあるだろう。
『臨月に自分がシタ側だと判明いたしました』(水島みき:作画、バタコ:原作/KADOKAWA)はそのタイトル通り、妊娠中、しかも入籍前日に婚約者から元妻と離婚できていなかったことを知らされるというショッキングな内容だ。
物語のはじまりは4年前。主人公のバタコはリゾートバイトの飲み会で知り合った男性・カバオと恋に落ちる。カバオはバツイチで元妻との間に子どもがいることを知っても、その気持ちが変わることはなかった。バタコに対し誠実なカバオと正式に付き合いはじめて同棲し、2年経過したとき妊娠がわかる。両家の顔合わせや出産準備を進めていきいざ臨月を迎えたとき、カバオが「実は離婚できていなかった」ことが発覚した。




愛する人と結婚するという幸せの絶頂から、実は自分が不倫相手(=シタ側)だったという絶望のどん底に叩き落とされる辛さは想像もできない。臨月の段階でこの事実を知ったとき、自分だったらどうするだろうと考えさせられる。離婚していると信じて愛していた人が実は既婚者のままだったという事実を聞かされた時のことを考えると胸が締め付けられる。




しかし、離婚できていないのはカバオのせいではなく、離婚に同意したはずの妻・パンナが離婚届を提出していないからだとわかる。カバオが離婚が成立しているかどうか確認すれば起こらなかった問題ではあるものの、結局は離婚届を出していないパンナに問題があるのだ。意図せずシタ側にされた事実に傷つきはしたものの、バタコはカバオと共に離婚したはずの妻・パンナと戦うことを決める。
だが、パンナは一筋縄でいく相手ではなかった。カバオの実家と土地を売った金額を含めた財産分与と将来ケーキ屋を開く資金として、慰謝料1500万円を支払えば離婚に応じるというのだ。売ってもいない土地の金額を要求されるうえ、なぜ元妻の「将来の夢」を叶えるための資金が慰謝料の内訳になるのだろう。とうてい払えない金額と筋の通らない要求に、バタコもカバオも読者も混乱することしかできない。その結果、バタコは未婚のまま出産を迎えることになる。


パンナは、本心ではカバオが自分たちの元に戻って来ることを期待していた。そのためなら、カバオとパンナの子どもを利用することもいとわない。子どもが泣いている動画を送りつけたり、病気を匂わせたりしてくるのだ。自分の要求を通すために辛そうな子どもを利用するのは、さすがにやり方が汚すぎるのではないだろうか。
パンナの策略通り、子どもを心配して戸籍上の「本当の家族」と接触する回数が増えていくカバオ。そんなカバオの行動に、バタコは「自分たちより向こうの家族の方が大切なのかもしれない」と不安を募らせていく。


両方の家庭にいい顔しているように見えるカバオの対応に怒り、バタコは「別れます」と言い残し子どもを連れて実家へ帰ってしまう。しかし、バタコとカバオはこんなことで壊れる夫婦ではなかった。いままでの反省とこれからのことを話し合いを始めるのだ。
夫婦の関係を続けるために最も大切なのは、「話し合いができること」だと教えてくれるのが本作の魅力といえる。強制的に「シタ側」にされたにもかかわらず、夫と向き合うバタコの強さを思い知らされる。ふたりの話し合いのその先にはどんな未来がつながっているのだろうか。ぜひ最後まで見守ってもらいたい。