森永卓郎さんに聞いた!500万円もって移住したら幸せになれる国はある?/モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!⑩
更新日:2024/10/7

Q.500万円の貯金があるとして、この国に行けば幸せに暮らせるよ!という国や場所はありますか?(SK、40代、フリーランス、女性)
私は、父の仕事の関係で、小学校1年生をアメリカで、4年生をオーストリアで、5年生をスイスで過ごしました。また、バブル期に商社系のシンクタンクで働いていたため、毎年世界を何周もするくらいの勢いで、アジアを含めた世界各国を旅して回りました。
その時の経験を踏まえて言うと、どこかの国に移住したら幸せになれるということは、絶対にないと思います。少なくとも、私はひとつも知りません。
まず、欧米です。欧米では、日本人を含む黄色人種に対する根強い差別が残っています。例えば、6年前、ハーバード大学が、アジア系の学生たちに人種差別で訴訟を起こされました。その時の学生側の主張では「アジア系アメリカ人の学生の合格可能性が25%だったとしたら、白人であれば35%、ヒスパニックなら75%、アフリカ系なら95%だった」そうです。
私自身の経験でも、小学校で鬼ごっこをしたとき、私だけが捕まっても鬼になりませんでした。黄色人種は、もともと「人間ではない」ので鬼になれないのです。
そうした差別は、近年弱まっているのではないかと思っていたのですが、トランプ前大統領の発言を聞いていると、60年前の差別がそのまま残っていることが分かりますし、そのトランプ前大統領を半数のアメリカ人が支持しているという現実があるのです。そのため、私はいくらお金を積まれても、欧米に移住はしません。
一方、アジアや途上国はどうでしょうか。実は、日本のように、お互いのことを思いやって、直接の対価を求めない「曖昧な優しさ」で包んでくれる国は、もはや存在しません。かつて韓国は、儒教倫理を背景とする優しい国でしたが、1997年に通貨危機からIMF管理となって、資本主義が強化されたため、いまや日本とは比べ物にならないほどの弱肉強食社会に変貌してしまいました。
海外移住は、ただでさえ文化面の障壁が高いのに加えて、多くの人にとってさらなる困難をもたらすのが、語学能力の不足です。例えば、病院に行って、「さっきから刺すような痛みが背中に走り、胃もムカムカして吐き気が止まらない」と現地の言葉で医師に告げられますか。それができないと、普段の生活が成り立たないのです。
もし500万円の貯金があるのなら、私の一番のおすすめは、大都市から100キロほど離れた田舎への移住です。いま不動産価格は、極端な二極化をしています。東京都心だと、マンション一室が数億円もする一方で、田舎は二束三文になっています。上手に買えば、500万円でゆったりとした一戸建てと、自給自足を可能にする畑と、おまけで山までついてきます。しかも、大都市と異なり、いまでもお互いに支えあう「曖昧な優しさの社会」が残されています。
いきなりの田舎暮らしが不安であれば、私のように都会と田舎の中間である「トカイナカ」で暮らし始めてみてはいかがでしょうか。
<第11回に続く>