森永卓郎さんに聞いた!中高年で転職するのは…リスクですか?/モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!⑪
更新日:2024/10/7

Q.今、正社員の職場で働いています。賞与欲しさに定年60歳を目指して毎日ハードスケジュールをこなして、ヘトヘトです。転職情報を見ると、もっと楽な仕事は沢山あり、その代わり、賞与も無く、年収も低くなります。今、55歳で乗り換えるか、心が揺れていて、天秤状態です。何かいいアドバイスがあれば、宜しくお願いします。(E.N.、50代、会社員、男性)
まず、中高年の転職市場の実態を正確に把握されていることに敬意を表します。おっしゃる通り、中高年になってから転職すると、年収が大幅に低下するケースがほとんどになります。それを覚悟で、あえて転職をするかどうかは、二つの条件で判断すべきだと思います。
一つは、いまのハードワークを脱却した後、何をしたいのかをしっかりと見つめることです。もし、すでにやりたい仕事が決まっていて、それが生きがいにつながるようであれば、いますぐ転職に踏み切るべきだと思います。高齢期に向かうと、どうしても体力が落ちていきます。ですから、新しいことを始めるためには、できれば50代のうち、遅くとも60代前半までに始めないと、非常に苦しくなります。ハードワークを卒業することで生まれる余裕時間で、何かやりたいことがある場合も同じです。
逆に、単に楽をしたいということであれば、転職は慎重に考えるべきだと思います。転職で年収が下がるだけでなく、福利厚生が得られなくなったり、将来の年金が減ったりと、様々な不利益が生じて、転職を後悔することになりかねないからです。
もう一つの条件は、転職後の低い年収でも生活が継続できるかどうかです。正社員の比較的高い年収を得ていると、知らず知らずのうちに高コストの暮らしが日常になっていることが多い。ですから、年収が大幅に下がっても生活が継続できるかきちんとチェックしておきましょう。そして生活がひっ迫することが分かったら、低コストで暮らせるようにライフスタイルを抜本的に転換すべきです。例えば、いまお住まいの場所が大都市である場合は、郊外に移り住むだけで生活コストは3割くらい下がります。新しい仕事は、そこから通えるところを選べばよいのです。
私自身の経験のお話をすると、いまから18年前に、子供が成人したのをきっかけに、それまで勤めていたシンクタンクを辞めて、大学に転職しました。シンクタンク時代は、とてもたくさん稼いでいたので、年収は大幅に下がりましたが、もともとトカイナカ暮らしをしていたので、生活に影響することは一切ありませんでした。その結果、やりたい仕事だけに特化することができるようになり、ストレスは大幅に少なくなりました。
<第12回に続く>