隣のベッドから苦しそうな声…ガンで入院、大部屋での共同生活に困惑【作者インタビュー】
公開日:2024/7/21

夫と2人の子どもと、幸せに暮らしていた主婦のやよいかめさん(@yayoi_kame)。鼻詰まり症状がなかなか治らず、病院へ行くと鼻腔(びくう)ガンだと判明した――。
突然ガン患者となり、治療を経てガンサバイバーとなったやよいかめさんが、闘病生活や家族との触れ合いを丁寧に、そしてときにはコミカルに描いた漫画『鼻腔ガンになった話』は、SNS上で大きな反響を呼んだ。そのリメイク版を、やよいかめさんのインタビューとともに紹介。第6話では、ガン病棟に入院する。
※本作で紹介している症状は、個人の体験談です。すべての人に当てはまるものではありません。症状に悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため閲覧にはご注意ください。

























診断から2週間で入院、子どもは転校したばかり
――ガンが診断されてから入院まで、どれぐらいの期間でしたか。
およそ2週間で、かなり慌ただしかったです。告知されて2、3日で病院を決めて、新しい病院への転院手続きと初診。そこでたくさんの検査を受けて診察、治療方針・入院計画決定。このとき放射線科にも行って診察を受けて、顔の型取りも行いました。それから入院という流れです。
――親族に医療従事者がいることは、とても心強かったのでは?
夫の親類縁者には医療関係の仕事についている人が多く、お義父さんは特に心配して毎回のように付き添ってくれました。これから受ける治療の内容や、その治療が一般的なのか、最先端なのかなどを説明してくれて、本当に心強かったです。お義父さんも義理のお兄さん、お姉さんも、お仕事の関係を駆使して情報を集めてくださり、今でも拝みたいレベルで感謝しています。
――ご家族と別れる際にハグをする場面が印象的でした。
子どもたちは転校して1カ月も経っていませんでした。友達ができたのか、ちゃんと生活できているのか、宿題や忘れ物は?など、心配は尽きませんでした。特に娘のあーちゃんは小学4年生でいろいろと難しい年ごろです。いじめられたりしていないかと、ことあるごとに交友関係を聞き出そうとしていた気がします。
――「鼻を開く」という衝撃的なワードが出てきましたね。
入院前から鼻腔ガンについていろいろと調べていたのですが、本屋さん、図書館、インターネットなどでも「鼻腔ガン」に関する情報はほとんどありませんでした。大腸ガンや胃ガン、肺ガン、子宮ガンの患者さんの割合が圧倒的に多いようです。Instagramで検索しても「鼻腔ガンになった犬」ばかり出てきて、人間よりも犬の方が鼻腔ガンにかかりやすいということがわかっただけでした(笑)
――入院中に印象に残っていることは?
入院初期なら尿の保管です。最初の2日ほどは、尿をすべて保管することが衝撃的でした。1日に出る尿の量を測る必要があったようです。
今後はさらに綿密な治療計画が組まれ、本格的な闘病生活がスタートする。家族や周囲の人に支えられながら、ポジティブさを失わず闘病生活を乗り切っていく様子を描いたやよいかめさんの作品。2人に1人がガンになるといわれる今、その実体験は多くの人の参考になるに違いない。本作をまとめた書籍も発売中なので、気になる人はチェックしてみよう。
入院生活、持参してよかったものは?
――今回が人生初の長期入院とのこと。準備も大変だったのでは?
病院から入院準備のためのプリントをもらい、必要な物をそろえました。義母と実母はふたりとも「パジャマは絶対レンタルが便利だから申し込みなさい!」と言ってくれたことがおもしろかったです。入院初期はまめに洗濯できるけれど、長期だと負担になるし、入院中にしばしばパジャマを汚すから、レンタルの方が絶対に楽だって。たしかに誰にも気兼ねせずに過ごすことができたのでよかったです。
やよいかめさんが、持参してよかった物を教えてくれた。
――入院生活で用意してよかったものを教えてください。
1.ドリップコーヒー、フレーバーティー、渋めの緑茶とお気に入りのマグカップ
治療をしていると不安になることも多いですが、自分が好きな香りに触れることで、落ち着いた気持ちになれました。
2.洗濯物を入れるバッグ(洗濯ネット)&お風呂バッグ
下着類は自分で洗う必要があったので、洗濯室へ行くためのバッグは必須。調子がいいときはシャワーも浴びられたので、シャンプーや石けん、着替えなどが入るバッグがあると便利でした。
3.コードが長めのイヤホン
テレビはBluetoothが使えなかったので、横になりながらテレビを見るときにコードが長いイヤホンは重宝しました。音質がよくて耳にやさしいものがおすすめです。
4.大きいS字フック
お風呂セットやバッグをベッドサイドにかけるのに使います。入院中は「S字フックがあれば…」と思うことが多く、お見舞いのときに夫に家から持ってきてもらいました。
5.ピーリングジェル
シャワー生活だと「角質が溜まっていく感じがするよね」と患者さん同士で話していました。私はピーリングジェルを持って来ていたので、同室の患者さんに貸してあげたら、めっちゃ感謝されました。みんな気になっていたようです。
次回からは、放射線治療が始まる。家族や周囲に支えられながらポジティブさを失わず闘病生活を乗り切っていく様子を描いたやよいかめさんの作品。2人に1人がガンになるといわれる今、その実体験は多くの人の参考になるに違いない。本作をまとめた書籍も発売中なので、気になる人はチェックしてみよう。
■やよいかめ
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