朝だけ営業する朝ごはん専門店、メニューはたったひとつだけ!? 読んでるだけで唾液と食欲が止まらない、美味しい「グルメ漫画」5選

マンガ

公開日:2024/12/28

 香りもしない味もしない、だけど読んでいるだけで味覚と心を満たしてくれるグルメ漫画。作者の卓越した画力によって描かれる至極の料理を夜中に見てしまった日には、もう後戻りできなくなってしまう……。本稿では、そんな脳髄の食欲を刺激するグルメ漫画を5作ピックアップ。年末年始の一気読みにピッタリな作品がチョイスされているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

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温かな食事で心を満たす人情朝食マンガ『朝ごはん亭』

 子どもの頃は毎日食べていたけど、大人になってからは忙しくて朝ごはんを軽食で済ませてしまう……という人も少なくないだろう。だが、朝日に照らされながら家族と食卓を囲む風景は、確かに存在していた。そんな当時の気持ちを呼び起こしてくれるのが、『朝ごはん亭』だ。

朝ごはん亭
朝ごはん亭』(青菜ぱせり/少年画報社)

 同作の舞台は、朝だけ営業している「朝ごはん亭」。メニューには日替わりの朝定食しかないが、卵かけご飯やおにぎり、ゆうべのカレーや湯豆腐など、豊かなラインナップが用意されている。いずれも「こういうのが良いんだよ」と口をついてしまいそうな一品ばかりで、翌日は早起きして朝ごはんを食べよう……という気持ちになるかもしれない。

 また、朝ご飯を通して各話に登場する人物たちが繰り広げるヒューマンドラマも、同作の魅力の一つ。お腹は空くけど心は満たされる……そんな心温まるエピソードに癒されてみてはいかがだろうか。

摩耗した心を優しく包みこんでくれる『それでも朝にはおなかがへっている 鎌倉稲荷荘のごはん』

それでも朝にはおなかがへっている 鎌倉稲荷荘のごはん』の主人公・セツは、漫画家・魁エイジのアシスタント兼彼女として彼をサポートしていた。しかし、あるとき趣味でSNSに投稿していた漫画がバズり、それに嫉妬したエイジから裏切りを受けてすべてを失ってしまう。

 絶望の淵に立たされたセツは海へ身投げを決意するも死にきれず、街を彷徨って辿り着いた不動産屋で「稲荷荘」と出会った。そこで大家からミネストローネをご馳走してもらい、セツは思わず涙する。果たして彼女は人生をやり直せるのだろうか――。

 セツを中心としたヒューマンドラマが繰り広げられる同作。その大きな魅力の一つとなっているのは、なんといっても大家が振る舞う料理だろう。例えばセツが最初に食べたミネストローネは見るからにホカホカで、クタクタに野菜が煮られた至極の一品であることが一目瞭然。

 セツの今後はもちろんのこと、各話に登場する大家の手料理も見逃せない。

ビール党集まれ! 呑兵衛にはたまらない『出没! ビール女子』

 日本では大手飲料メーカーが販売するビールがシェアのほとんどを占めている一方、最近ではバラエティ豊かなクラフトビールも流行中。このブームをきっかけに、ビールに目覚めたという人も多いのではないだろうか。そこでオススメしたいのが、『出没! ビール女子』だ。

 タイトルの通り、同作は一人飲みを趣味とする主人公の女性が、さまざまなビールと出会う物語。王道の缶ビールから珍しいクラフトビール、そして銘柄に合わせたおつまみが紹介される、呑兵衛にはたまらない内容となっている。

出没! ビール女子
出没! ビール女子』(猫原ねんず/少年画報社)

 例えば第1話の主役は、ドイツの伝統的なビールであるヴァイツェン。口当たりがよくフルーティーな1杯に、熱々の鉄板で焼かれたソーセージを組み合わせて舌鼓を打つ。人目もはばからずソーセージにかぶりつき、豪快にビールを流し込む……。

 彼女の飲みっぷりを見ていたら、いつの間にか手元で「プシュッ」と音を鳴らしてしまうかもしれない。

イケ爺二人による人生のやり直しを描く『おいしい余生の過ごし方 ~元刑事と前科者の食卓~』

 何かをはじめるのに年齢は関係ない。そうは言っても、新しいことに挑戦するのは決して簡単ではないだろう。そんな気持ちで踏みとどまっている人がいたら、『おいしい余生の過ごし方 ~元刑事と前科者の食卓~』を読んでみてほしい。

 同作は元刑事・海老塚と前科者・蟹原の初老コンビが、料理を通して自分の人生を見つめ直す物語。海老塚は仕事第一の生活に愛想を尽かされて妻に熟年離婚を言い渡され、日々の掃除や炊事がこなせないことから荒んだ生活を送っていた。そんな中、たまたま入った居酒屋で30年前に担当した殺人事件の加害者・蟹原との再会を果たす。

 そこで海老塚は蟹原の過去を聞いているうちに、気づくと同居を持ちかけていた。はじめは困惑していた蟹原だったが、彼の事情に理解を示して受け入れることに。それを機に海老塚は台所へ立つことを覚え、料理を得意とする蟹原からレクチャーを受けつつ人生を見つめ直していく――。

 初老にして、初めて料理に挑戦し始める海老塚。はじめは失敗も多かったが、蟹原のレクチャーも相まってどんどん成長する。二人が完成した料理を食べながら笑顔を浮かべる様子には、思わずニッコリしてしまうはず。初老男性二人が再び立ち上がっていく姿は、きっと読者に勇気を与えてくれるに違いない。

働く男たちがグルメへのこだわりを語り尽くす『男の食談義』

 人間誰しも、食べ物には一家言あるもの。ご飯にシチューはアリかナシか、カップ麺は時間通りか早めかなど……きっと一度語り出したらキリがないだろう。そんなグルメにまつわる熱い議論を繰り広げていくのが、『男の食談義』だ。

 同作はとある清掃会社を舞台に、中年男性の源さんや30代半ばの兄(アン)ちゃんをはじめとした働く男たちがグルメ談義を繰り広げていく。1話完結型で物語が進行し、エピソードごとに一つのテーマに沿って源さんたちが熱弁をふるう。

男の食談義
男の食談義』(川原将裕/少年画報社)

 例えば第1話は、トーストをテーマにした議論が展開される。食パンをトースターなどで焼くだけのシンプルな一品ではあるが、何やら男たちには並々ならぬこだわりがある様子。焼き加減はどのくらいか、ポップアップトースターを使うのかオーブントースターを使うのかなどなど……。普段はなんとなくトーストを焼いている人も、このエピソードを読んだら自分でも気づかなかったこだわりを発見できるかもしれない。

 ほかにも、立ち食いそばの楽しみ方やカレーライスにレーズンはアリかナシか問題などニッチなトピックが登場するので、我こそはグルメだという人は同作を手にとって議論に参戦してみては?

 作者の食に対するこだわりが全面に出されるグルメ漫画。年末年始の暴飲暴食には気をつけたいところだが、今回紹介した作品を読みつつ、いつもと違う「食」にチャレンジしてみるのもいいかもしれない。

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