イケメン大学生は家政夫で名探偵!?お疲れ刑事とのバディで難事件に挑む【書評】
更新日:2025/2/6

『無気力探偵』の著者である楠谷佑先生が原作を手掛けた『家政夫くんは名探偵!』(楠谷佑:原作、NU:漫画、スオウ:キャラクター原案/KADOKAWA)は、家事が苦手なお疲れ刑事と訳あり家政夫が紡ぐ大人気ミステリーのコミカライズ版だ。
主人公・怜は殉職した父の背中を追い、刑事となった独身男性。刑事という職に誇りを持って日々の職務を全うしているものの、多忙ゆえに家事が後回しになりがちな怜。やむなく家事代行サービスを頼むことに。そして、家政夫として働く男子大学生・光弥と出会うことになるのだった。
光弥は、底知れない魅力を持つキャラクターだ。パッと目を引く整った顔立ち、掃除や洗濯、料理まであらゆる家事をそつなくこなす手際の良さ。彼のおかげで、荒れていた怜の生活は徐々に整っていく。
そんなある日、怜はとある殺人現場で光弥と遭遇する。事件のあらましを聞いた光弥は、鋭い眼光でこう言い放った。「自分も現場検証に同行させていただけませんか?」と。
作中で巻き起こる不可解な事件の数々を解決するのは、刑事である怜ではなく、謎めいた雰囲気を持つ家政夫・光弥だ。光弥は事件に潜むささいな違和感を鋭く察知し、追及する。その観察眼や洞察力は18歳とは思えないほど豊かだ。
家政夫と事件という組み合わせが、これほどまでに魅力的なのはなぜだろう。他人の家庭に深く入り込みながらも、その家族にとってはあくまで外部の存在にすぎない家政夫。この絶妙な立ち位置が生み出す独特の緊迫感が、強いリアリティをともなって読み手に迫る。
使命感の強い刑事・怜と謎解きに強い家政夫・光弥、不思議なコンビの見事なるバディ感にも注目したい。また、謎解きの合間に紹介される家事の豆知識も見どころのひとつ。ミステリー好きはもちろん、家事ができる男性に惹かれる人にも読んでほしい一作だ。