犬同伴で参拝できる! 武蔵御嶽神社(東京都青梅市)で愛犬祈願しつつ“お犬さま像”に会いに行く/オオカミは大神

文芸・カルチャー

公開日:2025/1/1

 本殿の裏側の古碑が立ち並ぶ築山に、一体だけお犬さま像が建っているのに気がついた。これは前からあった古いお犬さま像らしい。拝殿内の古い写真には、これと同じような像が映っているので、もしかしたら、そのお犬さま像なのだろうか。

オオカミは大神
築山にある一体の古いお犬さま像

 さらにその奥には御岳山(標高929メートル)の山頂碑があり、隣には大口真神社が鎮座する。大口真神は、狼を神格化した神そのものだ。ここにも、たてがみも凛々(りり)しい一対の新しい石像が守っているが、これは平成19年3月に奉納された。

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大口真神社を守っている狼像

帰りは、ケーブルカーには乗らないで、滝本駅の駐車場まで登山道を歩いて下りた。駈け出したら止まれなくなるような急坂だが、これから参拝するという犬連れの人たちにたくさんすれ違った。犬は元気に上っていくが、中には、額から汗を流して辛(つら)そうな飼い主もいた。しかし、「疲れる、疲れる」といいながらも、こんなふうに愛犬と登拝できることを幸せに感じていることは、飼い主の顔から一目瞭然だ。

 「お犬さま」は生物学的な「ニホンオオカミ」と同じではなく、あくまでも信仰上のイメージだ。日本では西洋とは違い、狼と犬との区別はあいまいな部分があったという事情もあり、「お犬さま」信仰に「狼」ではなく「犬」が加わってもなんら不自然さはないというのが日本的でもあるだろう。

 このように、お犬さま信仰に現代的なご神徳が加わっていく(新しい物語が生まれる)ことで、お犬さま信仰はこれからも生き続けていくのではないだろうか。

 その時代の人々の意識的・無意識的な願望や価値観の受け皿になるように、神社側も変わっていかざるをえないのかもしれない。

オオカミは大神
昭和60年に奉納された北村西望氏制作のブロンズ像

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