もし男性助産師がいたら?出産妊娠を取り巻く男性の課題に挑むコミック『俺は助産師』【書評】
更新日:2025/2/6

もし、男性も助産師になれるとしたら、日本の出産を取り巻くさまざまな問題は変わるのだろうか。『俺は助産師』(反転シャロウ/KADOKAWA)は、男性助産師が妊娠出産の現場を通して、男性が抱える問題を解決していく作品だ。
現在日本では、助産師になる条件のひとつに「女性であること」が定められている。これは、産後の処置や授乳指導などを医師ではない男性が行うことに、抵抗感や反対意見が多数あることが原因とされている。
本作は、男性助産師・生見(ぬくみ)がとある病院に配属されたことからスタートする。男性助産師だからこそできる、妊娠出産を控える『父子』をテーマにしたストーリーだ。
収録されているエピソードのひとつに、陣痛で病院に搬送された女性の話がある。陣痛で苦しんでいる間、女性の夫は待合室でスマホゲームを楽しんでいた。夫は妊娠中の大変さや陣痛の苦しさを知らず、妊娠出産を「やっぱり母は強し」という言葉で済まそうとしていた。
それを見た生見は、夫を陣痛で苦しんでいる女性の元に連れていった。目の前の妻は、顔を歪めながら苦痛に耐え、絶叫していたのだ。「男にできることが少ないなら、その分尽くすだけでしょ。自分しか見てないから、そんな言葉が出るんすよ」という生見の言葉に、夫は態度を改め、妻を支えながら寄り添う姿勢を見せるようになった。
妊娠出産は、女性だけが行うものではない。家族全員で協力し乗り越えるべきものではないだろうか。
体に変化が起こるのは女性だが、男性もまた、父親として、家族としてどのように寄り添えば良いのか悩む場面に直面するだろう。そんな時に、助産師ではなくとも同じ男性目線で寄り添ってくれる存在があるのは心強いのではないだろうか。
この作品が、社会に新たな課題を提示し、出産を迎える夫婦や家族が未来に向けた新たな一歩を踏み出すきっかけとなることを期待したい。