SUPER BEAVER渋谷龍太のエッセイ連載「吹けば飛ぶよな男だが」/第42回「トレンディドラマ」

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公開日:2024/12/27

 まア結論はベタであることかと。考え続けてそれかい、という着地ですみません。とりあえず一旦聞いておくんなまし。

 王道と言えば聞こえはいいが、ベタは一般的には褒め言葉と真逆の言葉だと感じている。しかしながら、ベタを成立させるのは案外難しいものなんじゃないか、と私は思うのだ。ん、成立はするか。成立させた上で面白くするのが難しい、が正しいかも知らん。ベタは融通が効きづらく、隠し事が難しい。だからストーリーの面白さが必至条件にあり、かつキャラクターがものすごく魅力的でなければならないと思っている。受け手が考えなければならない糊代が少なければ少ないほど、当たり前だが話には見て取れる整合性が必要となるし、想像しうる展開だからこそ、アップとダウンを幾度も展開させなければならない。同時に、キャラクターの言動に理由が見えやすく、抱いている感情が分かりやすくなければならないときた。こんな具合だからこそ、捉え方次第であるとか、それぞれの解釈であるとか、そういった選択肢がほぼない。この女性はあれが原因で泣いている、この男性はあれをきっかけに強くなった、的な、その道においての答えが往々にして一つだけなのだ。よってトレンディドラマは「芸術」という言葉に逃げることが出来ない。だから清々しいまでにエンタテインメントとしての潔さを物凄く感じるのだ。

 で、これらの条件を単純にそのまま落とし込むと、全員5歳児くらいの脳みそのキャストで繰り広げられる泣くか笑うかの二択しかない興醒め物語りになってしまう。それを打開する為には、受け手が共感してしまい、時にヤキモキし、幸せになってくれ、と願われるような登場人物、「愛される人物」の存在が不可欠。そして主人公には「動機」が必要で、それを取り巻くキャラクターたちにも「理由」がないといけない。人間として深く引き込まれるような魅力がないと絶対に成り立たないのだ。だから、普通にやったら馬鹿がバタバタしているだけ、となってしまうところを一体どんな風に回避するかが、案外そのドラマの魅力に直結しているような気がしている。

 あとは、それらを一番外からギュッとまとめてくれる「明確なテーマ」。わかりやすいセリフも、先の読める展開も、ちょっと笑っちゃうような演出も、これがあるおかげで没入することに躊躇いが生じない。

 それともう一つは番外編として。スマートフォンやSNSがないことも重要な気がしている。かりそめの繋がりなんてものがないから、会うことに、話すことに、触れ合うことにいちいち切実。ストーリーも登場人物も、きちんと孤独であることを弁えているんだよね。だから本質にフォーカスを当てやすいんだ、とそんなことを思いました。

 

 単純で素直で格好つけてて、わかりやすくて間抜けで優しいの。

 複雑で曲がってて格好良くて、難解でスマートで厳しめのこの時代に一番必要なものだったりして。

 

 嫌な奴だと思っていたやつは途中で良い奴になるし、待ち合わせしてたのになんか会えなくなっちゃうし、衝撃的な展開の時の音楽はリバーブ掛かって強制的に終わるし、殴られた奴はみんな口の端だけ赤いし、泣き崩れちゃう時はいつも電話ボックスだし、みんなが決まって集まるパブで大喧嘩するし、雨の中傘放り投げて抱きしめちゃうし。

 やりすぎなんだよね、笑っちゃうよ。でも好き、大好き。

 

 あ!あと主題歌ね。主題歌の話は必須だったね。これ話し出したらもういよいよ止まんないわ、ここらでやめます。強制終了、音楽ばーーーーーん(リバーブ)。

SUPER BEAVER渋谷龍太

<第43回に続く>

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しぶや・りゅうた=1987年5月27日生まれ。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル。2009年6月メジャーデビューするものの、2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタート。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりにメジャー再契約。「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に起用される。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、2022年10月から12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーも全公演ソールドアウト、約75,000人を動員した。さらに前作に続き、2023年4月21日公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』に、新曲「グラデーション」が、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌に新曲「儚くない」が決定。同年7月に、自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催。9月からは「SUPER BEAVER 都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」をスタートさせ、2024年の同ツアーでは約6年ぶりとなる日本武道館公演を3日間発表し、4都市9公演のアリーナ公演を実施。2025年4月に結成20周年を迎え、SUPER BEAVER 自主企画「現場至上主義 2025」を4月5日、6日にさいたまスーパーアリーナで行い、さらに、6月20日、21日に自身最大規模となるZOZOマリンスタジアムにてライブを行うことが決定。

自身のバンドの軌跡を描いた小説「都会のラクダ」、この連載を書籍化したエッセイ集「吹けば飛ぶよな男だが」が発売中