かこさとしさん未発表原稿、2025年2月 ついに待望の絵本化”じいじ”の想いを受け継ぎ”孫”が形に (講談社)

文芸・カルチャー

更新日:2024/12/26

かこさとしさん(写真提供:加古総合研究所)

祖父・かこさとしさんの幻の遺稿に、孫・中島加名さんが絵をつけた!

「だるまちゃん」「からすのパンやさん」シリーズなどで国民的人気を誇る絵本作家・かこさとしさん。2018年に亡くなるまでに発表した作品はなんと600冊以上。現在も、多くの子どもたちがかこさんの絵本を見ながら育っています。

 

そんなかこさとしさんの未発表原稿が発見されたとの報道があったのは2023年12月。報道を受け、多くの方々より、ぜひその原稿を見たい、形にしてほしいとの声があがりました。

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作品名は『くらげのパポちゃん』。終戦後しばらくたった日本を舞台に、ちいさなくらげの「パポちゃん」が、とある少年の、戦争で亡くなりいまも行方知れずな父親を探しに住み慣れた場所から大海原へ旅に出ます。旅の終わりにパポちゃんが目にしたこととは……。

 

かこさんの原稿は文章のみであったため、絵本にするにはどなたかに絵を描いていただかなくてはなりません。そんな中、幼い頃より”じいじ”こと、かこさとしさんの側で育った孫・中島加名さんが、祖父の想いを受け継ぐ形で絵を描くことを決めました。発見からおよそ一年後、絵本はついに完成し、2月上旬に発売となります。

 

予約開始中の本作、このたびついに表紙を公開します。

なんとも愛らしい表情の「パポちゃん」。パポちゃんが大冒険の中で出会う、海の生き物たちの多様さも見どころのひとつです。

かこさんの作品を整理する中で『くらげのパポちゃん』を発見した、加古総合研究所代表・かこさとしさん長女の鈴木万里さんは、本作について下記のように述べられました。

 

(『くらげのパポちゃん』執筆当時)加古は川崎の臨港地帯に勤務、日曜日には子どもたちに紙芝居を見せたりしていましたが、その中には戦争で父親を失った子もいました。昼休みにクラゲを眺めながらそんな子どもたちの父親のことを考えているうちに、「パポちゃん」のお話ができあがったのではないでしょうか。

 

加古は晩年「戦争の本を作りたいが、なかなかできない」と繰り返していたのですが、先に発見された『秋』(講談社)同様、このパポちゃんも戦争を伝える貴重なメッセージです。このお話に込められた深い思いを感じとっていただけたら幸いです。

くらげのパポちゃん

作:かこ さとし 中島 加名

出版社からの内容紹介

『からすのパンやさん』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』など、今もなお読み継がれているベストセラー絵本を数多く残した、かこさとしさん。

かこさんの、戦争をテーマにした幻の遺作が見つかった――そうNHKが報じたのが2023年のことです。
見つかった原稿のタイトルは『くらげのパポちゃん』。しかし、見つかったのは原稿のみで、絵はついていませんでした。

かこさんの遺志を継いだのは、かこさんの孫である中島加名さん。奇しくも、かこさんが『くらげのパポちゃん』の原稿を書いたときと同じ年齢でこの作品に出会い、絵を描くことになりました。

『くらげのパポちゃん』に描かれているのは、戦争を二度と起こしてはならないというかこさんの強い思いです。その思いが祖父から孫へ、そして読者である子どもたちへと受け継がれる――それが、この絵本と言えます。

2025年は、終戦から80年にあたります。
太平洋戦争の時代に生きた、また、焼け野原となった戦後の日本で強く生き延びたと証言する人はかなりの高齢となり、鬼籍に入られた方も少なくありません。

一方、世界を見渡せば、この瞬間にも戦争が継続しており、多くの人々が命を落としています。
「戦争経験を語り継ぐ」「平和への想いをつなぐ」ことが重要なテーマとなっている今だからこそ、多くの人に伝えたい絵本です。