『ジャンプ』作品としていまだかつてない恋物語――。言葉にならない言葉と想いの交錯が切なすぎる…『青のフラッグ』
公開日:2017/9/16








それぞれに想う人がいながら、その矢印が互いを向くことはない。
ひらたく言ってしまえば高校生の“恋の三角関係”の物語なのですが、読んでいてると不安になってきます。
透明な空気感の中で描かれる本作は、登場人物たちの不器用ながらまっすぐな心がこちらにも痛いほどに伝わってきます。
全員に幸せになってほしい。
しかし、誰かがあきらめなけなければ、それは叶わないという結末は初めから見えており、読み進めながらこちらの胸もキリキリと痛むのです。
そしてまた、作者の KAITO先生の心理描写がとにかく素晴らしく、表情や視線が言葉にならない言葉を語ります。
作中に張られた“本心”を表す伏線に気づいたとき、切なさのあまり「あーーーー!」と思わず叫びだしてしまいそうになります。
スポーツ万能の人気者・トーマの“秘めた想い”により、 本作はジャンプ作品としていまだかつてない物語にもなっています。
それが一体何かは、是非本作を読んでご自身で読み取ってみてください。
(C)KAITO/集英社