「女ってホント面倒くさいよな…」なんて思っているうちは妻とうまくいきません!モテません!
公開日:2017/12/22

「女って本当に面倒くさいよな…」と、男性ならば誰もが感じたことがあるのではないだろうか。私にも往々にしてある。女性の話は時として、コミュニケーションにおいて合理性という概念がないように思える。時系列や主語述語、さらには話者の視点すらも整理されていない女性の話は聞いているだけで脳の思考回路が瓦解し、時として、精気を吸い取られているような感覚の境地に至る。
加えてもう1つ、「そんなこと思っていたならその時にしっかりと言ってくれたらよかったのに」も、かなりの“男の気持ちあるある”ではなかろうか。妻の口から堰を切ったように流れ出る今までの不平不満。こうなったらもう手に負えない。長年連れ添った妻ともなればその量も膨大。「いやいや、先に言ってくれないと。こっちも対策や対応ができないじゃないか!」と叫びたくなる気持ちは痛いほどわかる。とは言っても、そんな不満を日々募らせながら私たち男は結局女性から離れられない。
せっかく一緒に過ごすのならば常に幸せに付き合えた方が理にかなっているとは思うのだが、そのために「相手を成長させて自分と同じレベルになってもらおう」「寄り添っても無駄だから今は無視しておこう」なんて考えているようでは永遠に妻との溝は埋まらない。
なぜならばこの溝を生み出す原因は決して個人の能力の優劣ではないからだ。男と女とでは脳の構造が根本的に違うのである。こういった男女の脳の差異から生み出されるディスコミュニケーションは夫婦生活に支障をきたし、近頃では熟年離婚なんて話もよく耳にする。それでは我々男はどうすれば良いのか?
脳科学の立場から夫婦生活の秘訣や男女の脳の違いを説いたベストセラー、『夫婦脳—夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか—(新潮文庫)』(黒川伊保子/新潮社)を男としての立場からご紹介したい。脳の差異によりもたらされる不和は、脳の差異を正しく理解することによって解決できるということに本書は気付かせてくれる。
■それは過去の話だろ!
夫がポンと無神経な発言をしたことで妻が怒り、過去の夫のした無神経な発言を延々と列挙されるという話はよく聞く。夫としては「それに関してはその時に謝って解決したではないか! 時効だろ!」と憤ると同時に、「よくそんなに憶えているもんだな」と逆に感心してしまうほど。
しかし原因は女性の性格が酷いからというわけでは勿論ない。これは女性脳の優れた面の裏返しなのだ。女性脳には「長い文脈」を一気に把握する才能があり、“今”の会話や思考に使う脳の一次処理の領域に何十年分もの関連記憶を一気に展開することができる。男からすると一見厄介な性質に思えたりもするが、女性はこの才能のおかげで、過去の膨大な量の記憶を長い文脈でダイナミックに展開し、“赤ちゃんの急な発熱”のような緊急事態にも冷静で的確な処置を施せるわけだ。
■モテる男の返し方~女性脳からのラブレターに気付くべし~
妻や彼女がキッチンの角に指をぶつけて痛がっていたとする。男性脳としては、まずは患部の状況確認。治療の必要はないレベルの負傷であると判断したら、次は事故原因の究明。それから「もう一回指をぶつけないための対策」の構築だ。これは男心からすれば相手のためを思う深い愛ゆえの行為なのだが、そんなことをしようものならほとんどの女性は悲しい顔をするだろう。“負傷が浅い”ということもしっかりと確かめており、その上での対策構築なのに、である。それなのになぜ女は悲しむのか? 女性脳は右脳(感じる領域)と左脳(考える領域、言語機能局在側)の連携が男性脳よりも遥かに優れているためである。
この甘えは、いわば女性脳からのラブレターなのだ。上のシチュエーションで、傷はないのにただ甘えるだけの相手にイラつくあなたに対して、女性脳の構造をマスターした男はこう言う。「傷の深さはこの際関係ないよ。助けを求めたのは、心の方だからね」と。実にクールな思考回路だ。うーん、この男、確実にモテるだろうな。彼が妻帯者ならば、妻との関係は絶対に良好だろう。
本書は、男女の脳の研究の結果判明した科学的根拠に基づく夫婦の付き合い方のアドバイスがぎっしりと詰め込まれたベストセラーだ。もう一度言おう。我々男が信奉してやまない「科学的根拠」に基づいた夫婦の本である。
世界平和を願う私としては、21世紀の全ての夫と妻に本書を読んでもらえますようにと次の初詣で神様にお願いしたくなるほどのクオリティの高さだ。(正直に言うと、わざわざ混んでいる元旦に初詣に行くこと自体が非合理的だと思ってしまうのだが。これも私の男性脳の産物なのだろうか)。
それから勿論、妻帯者ではない男子諸君にもぜひ本書をおすすめしたい。女性を正しく理解することはモテへの第一歩なのである。しかし、本書のおかげで女性脳をマスターしてモテるようになったからといって安易に浮気・不倫などなさらぬよう。本書では不倫したくなった・されそうになっている時の対処法も詳しく解説されているので、そこも流さず熟読願いたい。私を含め、世界中の全ての男性脳に、幸あれ。
文=K(稲)
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