【ひとめ惚れ大賞】 『寄生獣』は読めば読むほど新しい発見があります『寄生獣 リバーシ』太田モアレインタビュー
更新日:2018/12/21

太田モアレ
原作:岩明 均
装丁:Tomonobu Matsuyama
編集:増田大祐
講談社アフタヌーンKC
630円(税別)
岩明先生の傑作「寄生獣」が『アフタヌーン』に連載されていたのは、私が中学生の頃でした。友人から「絶対に読め!」と薦められて読みはじめたところ、見事にハマって。もちろん現在もですが、当時の『アフタヌーン』には面白い作品が他にもたくさんあって、夢中になりましたね。
その『アフタヌーン』でデビューしてマンガ家になった私が、『寄生獣』のアンソロジー『ネオ寄生獣』に参加させてもらったのが2016年。原作のファンとして、嬉しい気持ちはもちろんありましたが、とにかく畏れ多くて……最初は断ろうと思ったほどでしたが、受けさせていただきました。そのときに私が描いた『今夜もEat it』が、嬉しいことにアンケートで上位にランクインしたことをきっかけに、この連載が始まったんです。ちなみにこのアンソロジーに関して、岩明先生はノータッチで。それぞれの作家に自由に描かせてくださったんですよ。
この、凄まじく完成度が高い偉大な作品を、自分はどのように描いたらいいのか……。まず原作を丹念に読み返すことにしたのですが、やはり『寄生獣』はすごいパワーがある作品だと痛感しましたね。いつ読み返しても新鮮に映るし、読むたびに新しい発見がある。新一の父の行動などは、年齢を重ねて初めて意味がわかります。
そして『寄生獣』は、キャラクターの強さもとにかく凄まじい。再読して特に惹かれたのが、重要人物のひとり・広川です。彼が「リバーシ」の中心となるわけですが、原作において彼は謎めいた部分が多い人物なんですよね。岩明先生が描かなかった部分を想像して私が描く。同人誌のような感覚とさえいえるかもしれません。
ところで、この作品は「コミックDAYS」というウェブサイトで連載しています。スマートフォンなどで読んでいただくことも意識してコマ割りなど考える、というのは自分にとって新たな挑戦の一つなんですが、実は私も編集担当さんもガラケーで。自分たちでは読めないんですけどね(笑)。
|| お話を訊いた人 ||
太田モアレさん 1979年生まれ。マンガ家。2007年、『囚われクローン』でアフタヌーン四季賞、同年『魔女が飛んだり飛ばなかったり』で四季大賞を受賞。『good!アフタヌーン』で『鉄風』(全8巻)を連載。
取材・文/田中 裕 写真/首藤幹夫
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